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14 魔王の覚悟
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チュ。
殆ど谷間になっていない胸の間に口づけ、わざと聞こえるように音を立てると、ヴィルは真っ赤になって震えた。
「陛下……いきなり、こんな……」
――可愛い!照れるヴィルは最高だな。
白い腹を撫で、もう一方の手で胸の先端を刺激すると、ヴィルの呼吸が荒くなった。
「はっ……や、……へい、かっ……やめ、て……」
手を止めて涙目になっている顔を覗きこむ。
「嫌か?」
「や、じゃな、い……」
「続けるぞ」
長い舌先で膨らみの先端を舐め上げる。ヴィルは顔を隠して震えた。
「……ヴィル?」
僅かに見えた頬に光るものが見える。
――泣かせた!?
「ど、どうした?泣くほど嫌ならやめるから、泣くな。……領地に帰らず、俺の傍にいてくれるだけでいい。無理強いはしないし、もう、触れないから……ぐ」
首の後ろに細い手が回され、フュルヒテゴットは勢いよく抱き寄せられた。柔らかい何かが唇に当たり、ヴィルの唇なのだと気づくまでに数秒かかった。
「……っはっ……ヴィル?」
唇が離れて、間近に見つめる金の瞳を見て、フュルヒテゴットの胸が痛いくらいに高鳴った。
「大好きです、陛下。ずっと、……ずっと好きだったんです。陛下のお傍にいられなくなると思って、分化しないように願っていました。……あんなことがあって……身体が女に分化して、お別れしようと思って……」
「放さない。俺の傍からいなくなるなんて言うな」
「……ダメなんです。私」
ドキン。
――別れを告げるつもりか?
「ヴィル……言うな」
「だって、陛下に触れられると、どこもかしこも気持ち良くて……」
――ん?
「もっと触って欲しくなって、おかしくなってしまうんです、私」
「あ……」
潤んだ瞳でもっと触ってと言われ、魔王の精神が大きく揺さぶられた。
「サキュバスとして成長したら、今まで募った思いが溢れて……。陛下、覚悟してください。私はあなたが、堪らなく欲しいんです」
「ヴィル!」
「きゃっ」
ぎゅっと細い身体を抱きしめる。
「……覚悟するのはお前の方だ」
◇◇◇
「……へえ」
「反応が薄いぞ、テオ!」
「俺、他人のノロケに興味ないんで」
「言ったな!魔王と未来の王妃のことだぞ、重要だろうが」
「結局、成長しきっていないヴィルとは最後までできなかったんですよね?分化したきっかけがアレをごっくんしたからだって言い張って、恥ずかしがるヴィルに散々飲ませたと。我が主君じゃなかったら、あなたのゲスい行為を皆にバラしてますよ。最低な奴がここにいるって」
「……そんなに酷いか?」
「最悪ですね。幻影石コレクションのメイドものと同じじゃないですか。ノリノリで咥えろとか言ったんでしょうが」
「う……」
図星を指されてフュルヒテゴットは仰け反った。気まずくてテオの顔が見られない。
「陛下のコレクションは俺がちゃあんと処分しましたから。代わりと言っちゃあなんですが、恋愛ものの幻影石を揃えときました。ヴィルと二人で見たら盛り上がりそうな、ゲロ甘のハッピーエンドばっかりです」
「そうか……ありがとう」
「それと、新しい幻影石を作るようにお触れを出しました。制作会社には内々に、銀髪魔王と黒髪貧乳サキュバスのラブストーリーを作るように言ってあります。悲恋ものなんて作ったら陛下のお怒りに触れるとも」
「仕事が早いな、テオ」
「これも陛下の御為ですから」
話していると部屋のドアがノックされ、多少は使えるオークが顔を覗かせた。疲れて寝ているヴィルの寝室の前に、見張りとして置いていた者だ。
「あのぅ……」
「どうかしたのか?」
「ヴィルさんが、陛下を呼んでます。……何か、具合が悪そうでした」
「大変だ!」
「ほぉら、やっぱり。陛下が無茶するから……」
テオのボヤきを聞かず、フュルヒテゴットは一目散に自分の寝室へと走り出した。
殆ど谷間になっていない胸の間に口づけ、わざと聞こえるように音を立てると、ヴィルは真っ赤になって震えた。
「陛下……いきなり、こんな……」
――可愛い!照れるヴィルは最高だな。
白い腹を撫で、もう一方の手で胸の先端を刺激すると、ヴィルの呼吸が荒くなった。
「はっ……や、……へい、かっ……やめ、て……」
手を止めて涙目になっている顔を覗きこむ。
「嫌か?」
「や、じゃな、い……」
「続けるぞ」
長い舌先で膨らみの先端を舐め上げる。ヴィルは顔を隠して震えた。
「……ヴィル?」
僅かに見えた頬に光るものが見える。
――泣かせた!?
「ど、どうした?泣くほど嫌ならやめるから、泣くな。……領地に帰らず、俺の傍にいてくれるだけでいい。無理強いはしないし、もう、触れないから……ぐ」
首の後ろに細い手が回され、フュルヒテゴットは勢いよく抱き寄せられた。柔らかい何かが唇に当たり、ヴィルの唇なのだと気づくまでに数秒かかった。
「……っはっ……ヴィル?」
唇が離れて、間近に見つめる金の瞳を見て、フュルヒテゴットの胸が痛いくらいに高鳴った。
「大好きです、陛下。ずっと、……ずっと好きだったんです。陛下のお傍にいられなくなると思って、分化しないように願っていました。……あんなことがあって……身体が女に分化して、お別れしようと思って……」
「放さない。俺の傍からいなくなるなんて言うな」
「……ダメなんです。私」
ドキン。
――別れを告げるつもりか?
「ヴィル……言うな」
「だって、陛下に触れられると、どこもかしこも気持ち良くて……」
――ん?
「もっと触って欲しくなって、おかしくなってしまうんです、私」
「あ……」
潤んだ瞳でもっと触ってと言われ、魔王の精神が大きく揺さぶられた。
「サキュバスとして成長したら、今まで募った思いが溢れて……。陛下、覚悟してください。私はあなたが、堪らなく欲しいんです」
「ヴィル!」
「きゃっ」
ぎゅっと細い身体を抱きしめる。
「……覚悟するのはお前の方だ」
◇◇◇
「……へえ」
「反応が薄いぞ、テオ!」
「俺、他人のノロケに興味ないんで」
「言ったな!魔王と未来の王妃のことだぞ、重要だろうが」
「結局、成長しきっていないヴィルとは最後までできなかったんですよね?分化したきっかけがアレをごっくんしたからだって言い張って、恥ずかしがるヴィルに散々飲ませたと。我が主君じゃなかったら、あなたのゲスい行為を皆にバラしてますよ。最低な奴がここにいるって」
「……そんなに酷いか?」
「最悪ですね。幻影石コレクションのメイドものと同じじゃないですか。ノリノリで咥えろとか言ったんでしょうが」
「う……」
図星を指されてフュルヒテゴットは仰け反った。気まずくてテオの顔が見られない。
「陛下のコレクションは俺がちゃあんと処分しましたから。代わりと言っちゃあなんですが、恋愛ものの幻影石を揃えときました。ヴィルと二人で見たら盛り上がりそうな、ゲロ甘のハッピーエンドばっかりです」
「そうか……ありがとう」
「それと、新しい幻影石を作るようにお触れを出しました。制作会社には内々に、銀髪魔王と黒髪貧乳サキュバスのラブストーリーを作るように言ってあります。悲恋ものなんて作ったら陛下のお怒りに触れるとも」
「仕事が早いな、テオ」
「これも陛下の御為ですから」
話していると部屋のドアがノックされ、多少は使えるオークが顔を覗かせた。疲れて寝ているヴィルの寝室の前に、見張りとして置いていた者だ。
「あのぅ……」
「どうかしたのか?」
「ヴィルさんが、陛下を呼んでます。……何か、具合が悪そうでした」
「大変だ!」
「ほぉら、やっぱり。陛下が無茶するから……」
テオのボヤきを聞かず、フュルヒテゴットは一目散に自分の寝室へと走り出した。
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