探偵三兄弟の帝都事件簿

ヲダツバサ

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第一章 浅草十二階バラバラ殺人事件

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 僕の言いたい事を先読みしたかのように、次兄が袂から被害者の死体検視書の写しを取り出した。

「持って来ておいて良かったぜ。沖塩氏になりすました被害者の体型は、氏の体型そのものだ」 

「いつの間に? 舞助兄上から盗んだんじゃないでしょうね?」

「ちげぇよ。兄上が最初から二部持っていたんだ。俺経由でお前に渡すために」

「僕に? 何故直接渡してくれなかったのでしょう?」

 答えは死体検視書の隅にあった。

 兄上から渡されたそれを見ると、小さな字でこう書いてあった。





 あと一息だ。
 ここまで来れたお前なら、もう分かるはずだよ。





「ここまで……」

 たった一日で、色々な事があった。ありすぎたぐらいだ。

 初めての帝都。初めての事件。初めての推理。

 あと一息で、全て終わる。

 考えろ。考え続けるんだ。

 これまで、どうやって推理し、間違えた時と当たった時で何が違ったか、考えてみよう。

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