探偵三兄弟の帝都事件簿

第一章 浅草十二階バラバラ殺人事件

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　揺れる車内で、鈴木巡査は不安そうな顔をしていた。話しかけづらい雰囲気だ。とはいえ何も会話が無いのも気まずいので、僕は独り言のように話題を振ってみた。

「沖塩氏はどんな罪で捕まるのですかね」

　鈴木巡査が思いもよらぬ言葉を放った。

「外患誘致罪ですよ。氏は国家転覆を図った」

「えっ」

「未遂ですが、それでも罪は大きいです」

　どういう事だ。沖塩氏は殺人より大きな罪を犯したのか。いつ？

　僕は鈴木巡査と同じものを見てきたはずなのに、何故分からないんだ……。

　僕が面食らった表情をしていたのだろう。鈴木巡査は囁いた。

「外国と関わる者が、国内から大急ぎで逃げて、海の向こうへ行こうとする理由を考えてみなさい」

　その分かりやすい助言のおかげで、僕も閃いた。