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第一章 浅草十二階バラバラ殺人事件
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「この事件の犯人は沖塩氏と鵶、と考えて良いのですよね?」
僕の問いに、長兄は肯定も否定もしなかった。
「分かりやすく言えば、そうだな」
「だとしたら彼らは、どうやって掃除員の中嶋や警備員の大串に気付かれずに、浅草十二階内へ死体を置いたのでしょうか? 外部の人間が、中嶋や大串が建物内をどう周るのか把握出来ないはずです。たとえ運良く姿を見られなくても血の匂いがしたのでは? それに小波津のハンケチ。あれは小波津と沖塩氏の関係を知っていなければ工作出来ません」
「それにしても、沖塩氏は何故こんな事をしたのですか?」
鈴木巡査が当然の疑問を長兄にぶつけた。
「その役者志望を自分の身代わりに殺して、何の得があるのです? しかも殺しの実行犯は鵶なのですよね、あなたの推理では。強進派である氏が、強進派を殺す鵶と手を組む理由が分かりません。不可解です」
長兄は薄く笑って、鈴木巡査を僕から離す。そして彼に何か耳打ちした。
「な……何ですって」
どんな事を知らされたのか知らないが、鈴木巡査は表情が歪むほど驚いていた。
僕の問いに、長兄は肯定も否定もしなかった。
「分かりやすく言えば、そうだな」
「だとしたら彼らは、どうやって掃除員の中嶋や警備員の大串に気付かれずに、浅草十二階内へ死体を置いたのでしょうか? 外部の人間が、中嶋や大串が建物内をどう周るのか把握出来ないはずです。たとえ運良く姿を見られなくても血の匂いがしたのでは? それに小波津のハンケチ。あれは小波津と沖塩氏の関係を知っていなければ工作出来ません」
「それにしても、沖塩氏は何故こんな事をしたのですか?」
鈴木巡査が当然の疑問を長兄にぶつけた。
「その役者志望を自分の身代わりに殺して、何の得があるのです? しかも殺しの実行犯は鵶なのですよね、あなたの推理では。強進派である氏が、強進派を殺す鵶と手を組む理由が分かりません。不可解です」
長兄は薄く笑って、鈴木巡査を僕から離す。そして彼に何か耳打ちした。
「な……何ですって」
どんな事を知らされたのか知らないが、鈴木巡査は表情が歪むほど驚いていた。
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