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第一章 浅草十二階バラバラ殺人事件
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「あの、血の付いたハンケチは小波津の物だった。というか、その可能性が高い。それに小波津は沖塩氏からハンケチを貰った事を黙っていた。何故だ。自分にとって不都合な事実だからだろ」
「ですが小波津さんのような少女が、自分より体格の大きな男を殺せるとは思えません」
「小波津は小柄じゃなかっただろ。身長が高く、肩幅もやや広い。それに不意打ちを狙えば可能だ」
「それは否定しません。とは言え、殺すほどの動機が無い」
「中嶋だって動機はねぇよ」
「八階の、三人目の参考人を見てからまた考えましょう」
「それもそうだな」
また僕らは階段を上る。
蝸牛の殻の中を歩くように。
自分の足音がやたら大きく聞こえた。
八階は海外の特産物や芸術品が売られていた。欧州の物もあれば、亜細亜の物もある。
服。小物。菓子。飲料。絵画。台の上に並べてあったり、壁に掛けられていたり。
まるで小さな万博だった。
値札を見てみる。書き間違いだらうと思うほど高かった。
隅には他の階と同じように出っ張った従業員室があった。
その前で不機嫌そうな鈴木巡査が待っている。
「待たせて悪いね」
次兄はヘラヘラと笑って謝罪した。火に油を注ぐ気か。
「ですが小波津さんのような少女が、自分より体格の大きな男を殺せるとは思えません」
「小波津は小柄じゃなかっただろ。身長が高く、肩幅もやや広い。それに不意打ちを狙えば可能だ」
「それは否定しません。とは言え、殺すほどの動機が無い」
「中嶋だって動機はねぇよ」
「八階の、三人目の参考人を見てからまた考えましょう」
「それもそうだな」
また僕らは階段を上る。
蝸牛の殻の中を歩くように。
自分の足音がやたら大きく聞こえた。
八階は海外の特産物や芸術品が売られていた。欧州の物もあれば、亜細亜の物もある。
服。小物。菓子。飲料。絵画。台の上に並べてあったり、壁に掛けられていたり。
まるで小さな万博だった。
値札を見てみる。書き間違いだらうと思うほど高かった。
隅には他の階と同じように出っ張った従業員室があった。
その前で不機嫌そうな鈴木巡査が待っている。
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