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第一章 浅草十二階バラバラ殺人事件
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「そうだな。大体こんな感じだ。兄上はとにかく、事件に関係のある人物から直接話を聞きたがる。警察の報告や調査書よりもな。体が空いてない時は俺をこき使うんだ。あれを取ってこい、これを聞いてこい、それを確認してこい、とな」
僕もこれから、そんな生活を送るのだろう。
「兄上の凄いところは、一目見ただけで、一言聞いただけで、大体の事は見抜いちまうところだ」
「まるで千里眼ですね」
次兄は話を戻した。
「あの小波津ってガキは何か隠している」
「兄上は小波津さんを疑っているのですか?」
「ああ。そうだ。お前もだろ? ハンケチや刺繍の1.0について、しつこく聞いていたじゃねぇか」
「必要な情報だから確かめたかっただけです。兄上、落ち着いて下さい。小波津さんが犯人だなんて、動機は何です?」
「動機か。何だろうな。やはりそれが思いつかねぇ」
「他の二人の話を聞いてからまた考えましょう」
丁度鈴木巡査が戻って来た。
僕らは六階を目指し階段を上り始めた。
まだ半分も行ってないのに、僕と鈴木巡査は息切れしていた。
次兄だけ、尋常じゃない体力の持ち主は涼しい顔をしていた。僕らの距離は次第に開いて、先頭の次兄はずっと先にいる。
「兄上、何故、疲れないの、ですか」
声も切れ切れに僕は尋ねた。
「疲れるほどのもんでもないだろ。お前らが体力無さすぎなんだ。それでも男か」
「くそっ」
鈴木巡査が悪態を吐いたが、反響して次兄には聞こえなかった。僕はこの人と親しくなれそうにない。一体どうして、そんなに次兄を嫌うのだろうか。
僕もこれから、そんな生活を送るのだろう。
「兄上の凄いところは、一目見ただけで、一言聞いただけで、大体の事は見抜いちまうところだ」
「まるで千里眼ですね」
次兄は話を戻した。
「あの小波津ってガキは何か隠している」
「兄上は小波津さんを疑っているのですか?」
「ああ。そうだ。お前もだろ? ハンケチや刺繍の1.0について、しつこく聞いていたじゃねぇか」
「必要な情報だから確かめたかっただけです。兄上、落ち着いて下さい。小波津さんが犯人だなんて、動機は何です?」
「動機か。何だろうな。やはりそれが思いつかねぇ」
「他の二人の話を聞いてからまた考えましょう」
丁度鈴木巡査が戻って来た。
僕らは六階を目指し階段を上り始めた。
まだ半分も行ってないのに、僕と鈴木巡査は息切れしていた。
次兄だけ、尋常じゃない体力の持ち主は涼しい顔をしていた。僕らの距離は次第に開いて、先頭の次兄はずっと先にいる。
「兄上、何故、疲れないの、ですか」
声も切れ切れに僕は尋ねた。
「疲れるほどのもんでもないだろ。お前らが体力無さすぎなんだ。それでも男か」
「くそっ」
鈴木巡査が悪態を吐いたが、反響して次兄には聞こえなかった。僕はこの人と親しくなれそうにない。一体どうして、そんなに次兄を嫌うのだろうか。
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