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第一章 浅草十二階バラバラ殺人事件
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「だとしたら事件の構図はさらに複雑になる。鵶は強進派しか殺さない。そうなると被害者は、やはり沖塩氏か」
「まだ確定ではありませんが、犯人は鵶、被害者は沖塩氏……こんな殺し方をしたのは強進派に恐怖を与えるため?」
一種の脅迫だ。強進派に傾けばこうなるぞ、と。
次兄は頭を掻いた。
「分かんねぇな。ここで立ち話していても、結局仮説の発表会になるだけだ」
「ですね。浅草十二階に戻りましょうか」
「そうしよう。ところで、兄上には栗の土産があった訳だが、俺には何かねぇの?」
僕は急いで歩き出した。
「おいっ。てめぇ、シカトかよ」
「無駄話している場合じゃないですよ」
「無駄じゃねぇ。弟が兄貴に敬意を払ってねぇなんて問題アリだろうが」
「威厳が足りないのですよ」
「この野郎、昔はベソかいてばっかだった弱虫のくせに。大体、これから東京暮らしで世話になるんだろうが」
「舞助兄上の世話になるのです。それに過去の話を持ち出すなんて、今価値のあるものが何も無い証拠ですよ」
「後で覚えてろよ。コマ切れにして肉屋に並べてやる」
殺害予告されてしまった。恐ろしい。
次兄が駆けて僕に追いつき、あれこれ皮肉を言い合った。
なんだかんだ、昔に戻ったみたいで懐かしく思えた。
「まだ確定ではありませんが、犯人は鵶、被害者は沖塩氏……こんな殺し方をしたのは強進派に恐怖を与えるため?」
一種の脅迫だ。強進派に傾けばこうなるぞ、と。
次兄は頭を掻いた。
「分かんねぇな。ここで立ち話していても、結局仮説の発表会になるだけだ」
「ですね。浅草十二階に戻りましょうか」
「そうしよう。ところで、兄上には栗の土産があった訳だが、俺には何かねぇの?」
僕は急いで歩き出した。
「おいっ。てめぇ、シカトかよ」
「無駄話している場合じゃないですよ」
「無駄じゃねぇ。弟が兄貴に敬意を払ってねぇなんて問題アリだろうが」
「威厳が足りないのですよ」
「この野郎、昔はベソかいてばっかだった弱虫のくせに。大体、これから東京暮らしで世話になるんだろうが」
「舞助兄上の世話になるのです。それに過去の話を持ち出すなんて、今価値のあるものが何も無い証拠ですよ」
「後で覚えてろよ。コマ切れにして肉屋に並べてやる」
殺害予告されてしまった。恐ろしい。
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