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第一章 浅草十二階バラバラ殺人事件
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「それも知らないのか」
使用人が驚いた。行商人も「俺でも知ってるぜ」と口を開いた。
「困った事や警察に相談するほどでもない事件が起きた時、相談に乗ったり調査してくれるんだ。でも東京のは一味違うぜ。警察だけじゃ手に負えない犯罪者を逮捕するのに協力してくれるんだ。優秀なら警察の方から協力を頼まれる」
「へえ。警察の助手というところか」
「巷で一番有名なのは、倉橋っていう探偵だな。浅草一二階に事務所があるとか」
「倉橋?」
「たしか鵶の調査にも参加しているんだよな?」
行商人は使用人に尋ね、彼は頷いた。
倉橋。偶然だが、僕の姓も倉橋だ。
「もしかして、あんたが持っている今週の新聞って」
「そうだ。鵶の犯した事件と、倉橋探偵の取材だ」
「へえ。好敵手同士の特集だな」
「先月も、倉橋探偵の活躍で鵶の仲間の一人を捕まえたとか」
「先々月は、倉橋探偵の推理で陸軍幹部の暗殺を防いだとか」
「目が離せないな」
「格好良いぜ」
どうやら凄い探偵らしい。同じ倉橋姓として誇りを感じる。
僕らはその後も鵶や東京について語り合ってから就寝した。
使用人が驚いた。行商人も「俺でも知ってるぜ」と口を開いた。
「困った事や警察に相談するほどでもない事件が起きた時、相談に乗ったり調査してくれるんだ。でも東京のは一味違うぜ。警察だけじゃ手に負えない犯罪者を逮捕するのに協力してくれるんだ。優秀なら警察の方から協力を頼まれる」
「へえ。警察の助手というところか」
「巷で一番有名なのは、倉橋っていう探偵だな。浅草一二階に事務所があるとか」
「倉橋?」
「たしか鵶の調査にも参加しているんだよな?」
行商人は使用人に尋ね、彼は頷いた。
倉橋。偶然だが、僕の姓も倉橋だ。
「もしかして、あんたが持っている今週の新聞って」
「そうだ。鵶の犯した事件と、倉橋探偵の取材だ」
「へえ。好敵手同士の特集だな」
「先月も、倉橋探偵の活躍で鵶の仲間の一人を捕まえたとか」
「先々月は、倉橋探偵の推理で陸軍幹部の暗殺を防いだとか」
「目が離せないな」
「格好良いぜ」
どうやら凄い探偵らしい。同じ倉橋姓として誇りを感じる。
僕らはその後も鵶や東京について語り合ってから就寝した。
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