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第5章 ロケット

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「今回の件で、しろがねに鴫野宮の血は流れてなく、私が長男の血を引く……鴫清しぎせの正当な後継者と分かりましたが」
「それも、望むと?」
「いいえ。望みません。要りません。しろがねに、くれてやって下さい。彼の好きにすれば良い」

 興味ありませんし、しろがねに恨まれるのは怖いですからね。憎しみの連鎖はここらで断ち切りましょう。

 今まで父だと思っていた人は、力無く頷きました。

「分かった」

 これでやっと、

「お前は自由だ」

 人の心の汚さから生まれたしがらみから、解放されたのでした。
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