【完結】失くし物屋の付喪神たち 京都に集う「物」の想い

ヲダツバサ

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第5章 ロケット

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「目を開けろ」

 初めて聞く、男の人の低い声が響きました。

 恐る恐る目を開くと、三十台半ばの男の人が立っていました。顔は日本人顔ですが、服装は西洋風です。

 くしゃくしゃの髪。狼のような目。薄い唇。無精髭。失礼ながら、野良犬を擬人化したらこんな感じかな、と思いました。

 服装は、白い長袖のシャツを腕まくりし、えんじ色のスラックスを履いています。靴は黒いブーツ。ロケットが西洋で発祥した物だから和装ではないのでしょう。

 彼は言いました。

「俺はお前さんが失くしたロケットの付喪神、名前はロイド。まったく……十年間もほったらかして、今更、何の用件だってんだ?」

 ぶっきらぼうな言い方でした。柄の悪い付喪神のようです。
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