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第5章 ロケット
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水口先輩は口角を上げすぎない上品な笑みを浮かべました。
「何買ったの?」
「麦茶です。先輩は?」
「紅茶が欲しくて。あったかいの。ストレートティーは、まだある?」
「はい。ストレート飲んでる人、あまりいませんから」
「ほとんどの人はミルクが好きだよね。私は甘ったるいの苦手だから」
「先輩らしいです。なんか、他の人より大人っぽい」
水口先輩は歩き方も、財布からお金を出す仕草も、全て落ち着いた上品さがありました。口数も少なく、クールな雰囲気。
こういう、同い年の女の子達に無い魅力に、竹内くんは惹かれたのでしょう。
「こがねだって、昔と比べたら大人になった」
「そうですか? あまり変わらないかと」
「高校生の授業内容が分かるなんて、びっくり」
「ちょっと、先輩! 私をおバカな子だと思ってません?」
「ごめん。冗談だよ」
「あはは……いや、本気で怒ってはいませんけど……。ああ、それより」
水口先輩と和やかな会話が出来て、嬉しかったです。幼い頃に戻ったみたいでした。ずっとこのまま、お喋りしていたい……そう思ったほどです。
でも、人は変わらなければいけない。変わらなければ生きていけない。
私はこの暖かい空気を、自ら壊しました。
「何買ったの?」
「麦茶です。先輩は?」
「紅茶が欲しくて。あったかいの。ストレートティーは、まだある?」
「はい。ストレート飲んでる人、あまりいませんから」
「ほとんどの人はミルクが好きだよね。私は甘ったるいの苦手だから」
「先輩らしいです。なんか、他の人より大人っぽい」
水口先輩は歩き方も、財布からお金を出す仕草も、全て落ち着いた上品さがありました。口数も少なく、クールな雰囲気。
こういう、同い年の女の子達に無い魅力に、竹内くんは惹かれたのでしょう。
「こがねだって、昔と比べたら大人になった」
「そうですか? あまり変わらないかと」
「高校生の授業内容が分かるなんて、びっくり」
「ちょっと、先輩! 私をおバカな子だと思ってません?」
「ごめん。冗談だよ」
「あはは……いや、本気で怒ってはいませんけど……。ああ、それより」
水口先輩と和やかな会話が出来て、嬉しかったです。幼い頃に戻ったみたいでした。ずっとこのまま、お喋りしていたい……そう思ったほどです。
でも、人は変わらなければいけない。変わらなければ生きていけない。
私はこの暖かい空気を、自ら壊しました。
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