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第5章 ロケット
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私は思わず、美雲丸の手を取ろうとしましたが、触れられない事を思い出しました。中途半端に上げた手を、さっと引っ込めました。
「もちろん、フクや深彦とも一緒にいたい。連れて行けたら良いのに」
「遠くから想ってくれるだけで充分だ」
美雲丸は爽やかに微笑んでいます。
……やっと気付きました。美雲丸が纏う冷ややかな空気は、秋の空気に似ているのです。冷たいだけではない、部分的に暖かい。疲れた者を眠りに誘うような、あともう一息頑張りたい者の背中を押してくれるような。
空が高く見えて、雲が美しく映えるのも秋です。
美雲丸は秋の化身のようだと思いました。
「どうした? ぼんやりしている」
「い、いや、何でもない。その、美雲丸は初めて会った時と変わらないなーって」
「初めて……会った時……。そうだ。こがね、今日の帰りにあかり堂へ行け」
「言われなくても毎日行ってるけど。いきなり、何故?」
美雲丸は裏庭の奥へ目をやりました。そこには小さな池があります。
「もちろん、フクや深彦とも一緒にいたい。連れて行けたら良いのに」
「遠くから想ってくれるだけで充分だ」
美雲丸は爽やかに微笑んでいます。
……やっと気付きました。美雲丸が纏う冷ややかな空気は、秋の空気に似ているのです。冷たいだけではない、部分的に暖かい。疲れた者を眠りに誘うような、あともう一息頑張りたい者の背中を押してくれるような。
空が高く見えて、雲が美しく映えるのも秋です。
美雲丸は秋の化身のようだと思いました。
「どうした? ぼんやりしている」
「い、いや、何でもない。その、美雲丸は初めて会った時と変わらないなーって」
「初めて……会った時……。そうだ。こがね、今日の帰りにあかり堂へ行け」
「言われなくても毎日行ってるけど。いきなり、何故?」
美雲丸は裏庭の奥へ目をやりました。そこには小さな池があります。
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