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第4章 ブレスレット

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 新たな事実の発覚により、事態は進展しましたが……いくつか謎も生まれてしまいました。

 私の父は、料亭にいる人ではない。別の場所で生きている。だけど、どこにいるのか。

 本当の父が別の人なら、本当の母は誰なのか。

 私の本当の両親は、鴫野宮家とどういう関係だったのか。

 父が刀を盗んだと疑われたのは何故なのか。

 その刀は物置にあるのに、今まで誰も見つけていなかったのか。

 十六年前に、一体何があったのか……。

「美雲丸、こがねちゃんの本当のお父さんは、どこで何してるのー?」
「分からない。もしかしたら料理関係の仕事をしているのかもしれないが」
「お料理? 何でー?」
「こがねの父は、鴫野宮家の長男だからだ。料亭を継がせるつもりで、修行をさせていたからな」

 いきなり謎がひとつ減って驚愕しました。

「ちょっと待って! じゃあ、今まで私が父だと思っていた人は、私の父の弟……つまり叔父さんなの?」
「そうだ」
「そんな大事な事、何でもっと早く言ってくれないの!」
「彼はこがねを引き取り、二度と本当の父に会わせないつもりでいた。私はこがねに無駄な希望を持たせたくなかったのだ」
「……引き取った? どうして?」
「泥棒の子供では可哀想だ、まともな教育を受けられないだろう、と。こがねの祖母が決めたのだ」

 おそらく鴫野宮家の人は全員、私が引き取られた子供だと知っていたのですね。みんな私に冷たかったのは、私が盗人の娘だからでしょう
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