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第4章 ブレスレット

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「美雲丸」

 こうなったら、美雲丸に、私が初めて友達になった付喪神に話してもらうしかないです。

 美雲丸は息を吐き出し、静かな声で告げました。

「その通りだ。こがね、お前の両親は彼らではないよ」

 自分でも驚くほど、心は平常でした。ああ、やはりそうだったか……と。

「美雲丸は、いつから知ってたの?」
「お前と出会う前から」

 つまり最初から私ひとりが間抜けなピエロだった訳です。何も知らず、必要の無い忍耐を強いられ、悲劇のヒロインだと思い込んでいた、馬鹿な小娘だったのです。
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