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第4章 ブレスレット

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美雲丸は私から目を逸らしていました。
 私は畳みかけます。

「おまけに、鴫野宮家がどこかいびつなのって、私に原因があるんでしょ?」
「え?」
「私の親、あの人達じゃないみたい」
「……誰が言うたん?」

 深彦は不安そうに尋ねました。そのリアクションで、彼も本当は知っていたんだなと察しました。

「父が、言ったの。口論になった時、罪人の娘のくせに、って。その罪人というのが他人みたいな言い方だった。誰の事なんだろうね。私には分からない」
「言葉の綾ちゃうんか?」

「父や母が自分の事をそう言うとは思えない。プライド高いもん。ねえ、もう隠さなくて良いってば。付喪神のあなた達なら知っているのでしょう? いつまで私を子供扱いするの?」
「い、いやいや。血ぃ繋がってへん訳あらへん。十六年も一緒に暮らしたんやで?」

 深彦、嘘が下手ですね。目が泳いでいます。
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