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第4章 ブレスレット

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「何故……?」

 ブレスレットはこの前の夏に買った物ではないの?
それなのに、どうしてもう付喪神が宿っているの?

 ハッと気付きました。

 驚愕に貫かれ、私は竹内くんが帰るまで一言も喋れませんでした。



 昼過ぎ、家に帰るのには慎重を要しました。私は泥棒のように家の中や庭の様子を伺いながら、玄関から帰宅しました。履いていた靴を持って自室へ向かいます。料亭の方が騒がしく、どうやら混んでいるようです。しかし手伝う気は一切湧きません。

 無事、誰にも会わず自分の部屋に辿り着きました。

 靴を使い終わったノートの上に置き、会いたい者達の名を呼びます。

「フク。深彦。美雲丸」

 彼らはすぐ、音も立てず部屋前の廊下に現れました。三人ともいます。
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