237 / 368
第3章 万年筆
3-71
しおりを挟む
つまらない詩を読み上げるかのように、淡々と言い上げました。
物によっては千年もの時を歩む付喪神。その時間の流れの中の、いくつもの出会いと別れ。心が弾けるほどの喜びもあれば、身を裂かれるほどの悲しみもあったと思います。孤独の中で出会う絆。喧騒の中で別れる平穏。
美雲丸は、主を、人間を愛しながらも、虚しくなってしまったのかもしれません。
どんなに尊い思い出を作っても、別れと共に無意味になるから。
生き別れも、死に別れも、もう嫌になったのかもしれません。
けれど、
「感情がなければ分かり合う事は出来ないよ」
だからこそ、
「さよならが辛いのは、それほど素敵な日々だったという証拠だよ」
私は美雲丸が好きなのです。
美雲丸は目を瞑り、頷く事も返事もせずに、黙ってずっと私の隣に立っていました。
秋はまだ始まったばかりで、たとえ短くとも、冬はまだまだ先でした。
物によっては千年もの時を歩む付喪神。その時間の流れの中の、いくつもの出会いと別れ。心が弾けるほどの喜びもあれば、身を裂かれるほどの悲しみもあったと思います。孤独の中で出会う絆。喧騒の中で別れる平穏。
美雲丸は、主を、人間を愛しながらも、虚しくなってしまったのかもしれません。
どんなに尊い思い出を作っても、別れと共に無意味になるから。
生き別れも、死に別れも、もう嫌になったのかもしれません。
けれど、
「感情がなければ分かり合う事は出来ないよ」
だからこそ、
「さよならが辛いのは、それほど素敵な日々だったという証拠だよ」
私は美雲丸が好きなのです。
美雲丸は目を瞑り、頷く事も返事もせずに、黙ってずっと私の隣に立っていました。
秋はまだ始まったばかりで、たとえ短くとも、冬はまだまだ先でした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる