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第3章 万年筆

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 青い光に溶けるように、筆丸の輪郭は消えてしまいました。

 それでも彼が、最後に笑ってくれたような気がしました。

 赤松さんは呆然と立ち尽くし、虚空を見上げています。涙がこれ以上溢れないように。

「筆丸は……赤松さんの夢を応援したかったのかな」
「万年筆の付喪神だからな、きっとそうだろう」

 誰にも聞こえないよう呟いた独り言に、美雲丸が応えました。

「だが私達は生き物ではないから、自分が存在し続ける事を第一の目標としない。やはり主人の幸せが第一だよ。私達はどうでも良い。命が無いのだから。人間には限りある命があるから、自分の人生を大切にしてほしい」
「とはいえ、感情はあるでしょう?」
「ああ。いらないのに、な」
「いらない?」

 私は横目で美雲丸を伺いました。

 彼は、どこか寂しそうな表情をしていました。

「別れが辛くなるから、感情なんていらない」
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