【完結】失くし物屋の付喪神たち 京都に集う「物」の想い

第3章 万年筆

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「やあ、来たね」

　放課後、真っ直ぐあかり堂へ向かうと、店の前に弦介さんが立っていました。私達が来るのを予感していたみたいです。

「こがねさん。赤松さんに頼まれたのかい？」
「そんな感じです」
「うん。よくやった」
「赤松さんの悩みを知っていたのですか？」
「ああ。と言うか、赤松家の長女が亡くなったと人伝に聞いた」
「なるほど。だから妹の赤松美波さんが心配だったのですね」

　弦介さんは赤松さんに向かってニコッと微笑みました。赤松さんは軽くお辞儀して挨拶しました。