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第3章 万年筆

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「そういえば、何で美雲丸はいないのー? こういうのは美雲丸に相談したらー?」
「確かにな。美雲丸はんはこがねはんと一番付き合いが長いんやし」

 美雲丸が呼んでません。呼ぶわけにはいかないのです。

「美雲丸には、私の失恋の事、知られたくないの」
「もう知っていると思うよー?」
「フクが言っちゃったからね。美雲丸の前で」
「そうだっけー?」
「そうだよ!」

 フクは謝って来ましたが、もうどうしようもない事です。せめてこれ以上、詳細を知られたくない。だから美雲丸には声をかけませんでした。
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