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第3章 万年筆

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「生まれて来れた……? まるで、あなたが許可したから私が生まれて来れた、という言い方ですね」
「揚げ足を取るな。ただの言葉の綾だ」
「誤魔化さないで下さい。どういう意味ですか?」

「五月蝿い!」

 料亭中に響くほどの怒鳴り声でした。

 私は震え、何も言い返せず、沈黙が訪れます。

 やがてパタパタと足音が聞こえて来ました。

「どうしたの、じいちゃん」

 廊下の奥から、しろがねが現れました。
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