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第3章 万年筆

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 あかり堂の提灯に明かりが点いているのを見て、ホッとしました。ルリナの青い提灯ではありませんが、雨で冷えた街の中で暖かく感じました。

「ここだよ」

 私は指差します。

「何なの、ここ? お茶屋さんではないわよね」
「違う、違う。宮川町にあるけど。雑貨屋だってば」

 赤松さんが訝しむので、私が先導して店の戸を開けました。傘を閉じ、呼びかけます。
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