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第2章 手帳

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恐怖が去り、安堵します。

「こがねはん、しんどそうやな」

 兄と入れ替わるように現れたのは、短髪の男性の付喪神でした。二十代後半に見えます。頭に鉢巻、若草色の着物を襷掛けにし、今にも何か料理を作り出しそうな風貌です。

 彼は我が鴫清に昔からある大鍋の付喪神、深彦ふかひこと言います。

「おきばりやす。でも無理したらあかんで」
「ありがとう」

 深彦も連れて二階に行き、自室へ入りました。
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