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第1章 タイムカプセル
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ふと横を見ると、いつの間にかルリナがいなくなっていました。
どこに行ったのだろうと、辺りをキョロキョロ見ていたら、あかり堂の屋内が暗くなっていきました。蛍光灯の白い光に照らされていたはずなのに、その光は青に、さらに蛍が舞うかのように粉のような小さな光の粒がいくつも空中を舞い始めました。不規則に、天井から青い光芒が差します。
まるで、夜のプールの底でマリンスノウを眺めているみたいです。周りは青暗いけど、電灯の光が水のうねりに反射し、自分の周囲には雪のような微生物が漂っている……微生物でも生き物でもありませんけど。
幻想的な光景に見惚れてしまいました。
「綺麗……」
息を潜めていなければいけない事を忘れて、つい呟いてしまいました。
横にいる美雲丸を見ると、彼も見入るように天井を仰いでいました。彼の瞳がより一層青く見えました。付喪神にとっても目を奪われるほど神秘的な青い世界だったのです。
「おおっ……」
おじさんも衝立と障子の向こうで感嘆の声を漏らしました。
どこに行ったのだろうと、辺りをキョロキョロ見ていたら、あかり堂の屋内が暗くなっていきました。蛍光灯の白い光に照らされていたはずなのに、その光は青に、さらに蛍が舞うかのように粉のような小さな光の粒がいくつも空中を舞い始めました。不規則に、天井から青い光芒が差します。
まるで、夜のプールの底でマリンスノウを眺めているみたいです。周りは青暗いけど、電灯の光が水のうねりに反射し、自分の周囲には雪のような微生物が漂っている……微生物でも生き物でもありませんけど。
幻想的な光景に見惚れてしまいました。
「綺麗……」
息を潜めていなければいけない事を忘れて、つい呟いてしまいました。
横にいる美雲丸を見ると、彼も見入るように天井を仰いでいました。彼の瞳がより一層青く見えました。付喪神にとっても目を奪われるほど神秘的な青い世界だったのです。
「おおっ……」
おじさんも衝立と障子の向こうで感嘆の声を漏らしました。
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