【完結】失くし物屋の付喪神たち 京都に集う「物」の想い

第1章 タイムカプセル

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　ひとまず、歩いてみます。

　いつもの事ですが、なんかやたらカップルが多いです。特に、大学生ぐらいの男女が。川岸に座ったり、手を繋いで歩いたり、クスクス笑ったり……早急にこの場を離れたいです。

　一応、年頃の女の子として、恋人を作ってみたいという欲はあります。

　でも、恋は楽しい事だけじゃないです嫌な事や傷付く時もあります。それを知っています。

　夏に、思い知らされました。

　カップルをあまり視界に入れないようにしながら歩みを進めました。

「あかり堂って何屋なの……宮川町にあるってだけじゃ見つけるの難しいよ」

　辺りは暗くなって来ており、街頭と提灯が光り始めます。着物で歩く人々も増え、まるで異界にでも来たみたいです。