不良探偵ダン・エルトン

ヲダツバサ

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第1章 過去と今とダン・エルトン

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「全部開けたが、何も見つからなかった」 

「開けただけか?」

「指紋採取や、レイ・レッドと共に盗まれた物がないか確認したぞ」

 俺はがっかりした。それで大きな手がかりが見つからないとはね。

「ここにあるのは食料だけか?」

 俺はぐるっと見渡した。

「いや、金庫がある。部屋の角に、空の木箱の後ろだよ」

「なにっ、こんな所に金庫?」

 地下の食料庫に置くなんて奇妙な話だが、地下への扉は鍵がかかるし、出入り口はひとつだけ。泥棒が入り込んだら袋のネズミだ。悪くないのかもね。

 金庫はたしかに部屋の角にひっそりとあった。俺の腰ぐらいの高さで奥行きもあり、重くて頑丈そうだ。

「中には何が?」

「店の売り上げさ。毎日、店の売り上げをレオがあそこに入れているんだ。銀行の往復が面倒だからって、基本的にここへ貯めているらしい。鍵ひとつでかかる簡易的な物だ。地下室へ続く扉の鍵と同じ鍵束にせず、被害者レオ・レッドが持っている。被害者の弟レイ・レッドがそう言っていた。でも不思議な事に、警察がこの死体を発見した際……彼のズボンのポケットには地下室の鍵しかなかった。金庫の鍵は行方不明だ。」

「って事は、金庫の中身が無事かどうかも確認してねぇのか。被害者は、地下室の扉の鍵と、金庫の鍵を……両方とも常に持ち歩いていたのか? 被疑者の持ち物は調べたか??」

「レイ・レッドは被害者が両方とも常に持っていたと証言している。被疑者は身体検査を受けた。だけど鍵は見つからなかったんだ」

「被害者のどっちかが盗んだとして、どっかに隠したのかもな」

 言ったものの、それは現時点では分からないな。
 地下室から引き上げる前に、エリオットはひとつ不可解な情報をくれた。

「死体の第一発見者は給仕のブレンダという事になるが、彼女の証言には矛盾がある。ブレンダがここで死体を見つけた時、レオは右手に拳銃を持っていたそうだ」

 俺は再び死体に目をやるが、拳銃など無い。

「そしてブレンダがレイを呼びに行き、彼が死体を確認した時は、拳銃は無かったと言っている。正確に言えば、失くなったと」

「そりゃ変な話だ」

 死体の右手にあった拳銃が、ほんの少しの間に跡形も無く消えた。ブレンダの見間違いか? あるいは彼女が隠した? でも何らかの理由で隠したなら、自分から言う訳がない。なら、隠したのはレイか? だけど死体が見つかってすぐ、ブレンダはレイを呼びに行ったんだよな。その僅かな時間に、ブレンダとすれ違わないようにここへ来る事は可能か?


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