他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

第391話

ガチャ

アリシアがメイドのサリアのいる部屋の扉を開ける。

「お嬢様っ！！」

入室していたのがアリシアだと理解したサリアは声を上げながら駆け寄る。

「ボロボロではありませんか！？早く手当てをしませんとっ！！」

アリシアの恰好を見たサリアが取り乱す。

アリシアは両手の平をサリアに向け、制止する。

「サリアさん、御心配をお掛けしましたわ。怪我はもう治っておりますから」

アリシアがサリアを安心させようと大きく頷く。

「そう・・・ですか。良かったです・・・本当に」

サリアは顔を手で覆う。

「ありがとうございます。何があったのかをお伝えしたいところですがすぐに身支度をして学園長先生の所に行かないとなりません」

アリシアが申し訳なさそうにサリアに言う。

「っ！？そうでしたか、失礼致しました。では、こちらにいらしてください」

サリアはアリシアの言葉を聞き、すぐに切り替えるとアリシアを案内する。

「ふふふ。流石ですわサリアさん、ありがとうございます」

アリシアは頼もしいサリアの様子に微笑みながら礼を言うと身支度を手伝って貰いながら準備を進めた。



『・・・すまぬ。余計なことを言ってしまった。ま、まぁ、大丈夫だろ。あの騒ぎもグレイが納めたのだから』

イズは自分が言ってしまった言葉で余りにもグレイが動揺してしまったことを申し訳なく思い、謝る。

「そ、そうだよな・・・」

グレイはイズの言葉を聞いて何とか落ち着きを取り戻す。

「あら？どうされたのですか？」

「！？」

急遽聞こえてきた言葉に驚きながらグレイは声の方を見る。

「アリシア様っ！座ったままでお出迎えもせず、失礼致しました！！」

声を掛けて来たのがアリシアだと分かったグレイが未だ周りに人が多いことを意識し、外向き用の言葉で返事をする。

「ふふふ、グレイもお疲れですからそのようなことを気にしなくても良いのですよ」

グレイの様子を見てアリシアが寛容な態度で返してくれる。

「ありがとうございます」

グレイが頭を下げる。

「とんでもないですわ。では、参りましょうか」

「畏まりました」

先を言うアリシアの後ろをグレイが付いて行く。



「それで、先ほどはどうされたのですか？随分動揺なさっておりましたけど」

グレイとアリシアが進んでしばらくして周りに人気《ひとけ》が無いことを確認したアリシアがグレイに尋ねる。

「・・・」

グレイがどう答えようか困っていると、

『我が余計なことを言ってしまってなグレイが動揺してしまったのだ』

イズが代わりに返事をした。