374 / 399
第373話
しおりを挟む
「心配には及びません。こちらには3大貴族の方が2人もおりますから」
姫がマズローを安心させるように言う。
「・・・畏まりました。では、行って参ります」
マズローは貴賓席にいるバルム家当主とマギル家当主を見てから納得したように頷くとリングの方に向かって跳ぶように移動していった。
(・・・どうやら、決着がついたようだ)
バルム家当主であるシェリルが気を失った娘の目が覚めるのを待ちながらリングの方を見ていると後ろから声を掛けて来るものが居た。
「どうやら、終わったようだな」
「・・・バルムか。そのようだな」
後ろに来た者がバルム家当主であるゾルムであることを理解するとシェリルが同意する。
「ひとまずは待機しておくべきだろうな」
ゾルムが先ほど姫の命を受けてリングに向かった護衛騎士隊長の行動を思い出しながらシェリルにそう言う。
本心で言えばゾルムは早くアリシアとそしてグレイのいる場所に向かいたかった。
(だが、流石に姫様を残して行くわけにもいかないからな)
「ああ。そうだな。敵があいつ一人である保証もないしな」
「単独犯では無いと思うか?」
シェリルの言葉を聞いたゾルムは自分も気にしていた事を尋ねる。
「正直言ってそれは分からない。だが、警戒を緩める訳にもいくまい。少なくとももう暫くは様子を見ておくべきだろう」
「そうだな」
シェリルの意見に同意するゾルム。
「うっ・・・」
その時、シェリルの娘が呻き声を上げ、目を覚ました。
シェリルはその事にすぐに気が付くと、声を掛ける。
「ユリアッ!目を覚ましたか!!」
「えっ?母上・・・?」
ユリアはまだ意識がはっきりしないのか自分がどういう状況なのかを理解していなかった。
「ああ。そうだ。体は何とも無いか?」
「は、はい。痛みとかも何もありませんが・・・あ!?あの男はどうなったのですか!?」
ユリアはシェリルの言葉に答えながら、ようやく意識がはっきりしたのか慌てて起き上がると襲撃者の事を思い出し周りを見回す。
「大丈夫だ。恐らく、あの男は倒された」
動揺しているユリアに向かってシェリルの代わりにゾルムが答える。
「ゾルムおじ様。倒されたというのは真ですかっ!?もしかして、アリシアが?」
ユリアは母とは違う声の主を見ると、そう尋ねる。
「いや、娘も善戦はしたのだが倒したのは別の者だよ」
「・・・えっ?一体それはどういう・・・」
ユリアはゾルムが言う言葉が信じられなかった。
(あのリングには外から入ることのできない強固な結界が張られていたはずだ。それを破り、かつあの化け物のような男を倒したというのか・・・到底信じられない。だが、ゾルムおじ様がそのような嘘をつく訳も無いし本当の事なのか?)
ユリアはまだ混乱していた。
姫がマズローを安心させるように言う。
「・・・畏まりました。では、行って参ります」
マズローは貴賓席にいるバルム家当主とマギル家当主を見てから納得したように頷くとリングの方に向かって跳ぶように移動していった。
(・・・どうやら、決着がついたようだ)
バルム家当主であるシェリルが気を失った娘の目が覚めるのを待ちながらリングの方を見ていると後ろから声を掛けて来るものが居た。
「どうやら、終わったようだな」
「・・・バルムか。そのようだな」
後ろに来た者がバルム家当主であるゾルムであることを理解するとシェリルが同意する。
「ひとまずは待機しておくべきだろうな」
ゾルムが先ほど姫の命を受けてリングに向かった護衛騎士隊長の行動を思い出しながらシェリルにそう言う。
本心で言えばゾルムは早くアリシアとそしてグレイのいる場所に向かいたかった。
(だが、流石に姫様を残して行くわけにもいかないからな)
「ああ。そうだな。敵があいつ一人である保証もないしな」
「単独犯では無いと思うか?」
シェリルの言葉を聞いたゾルムは自分も気にしていた事を尋ねる。
「正直言ってそれは分からない。だが、警戒を緩める訳にもいくまい。少なくとももう暫くは様子を見ておくべきだろう」
「そうだな」
シェリルの意見に同意するゾルム。
「うっ・・・」
その時、シェリルの娘が呻き声を上げ、目を覚ました。
シェリルはその事にすぐに気が付くと、声を掛ける。
「ユリアッ!目を覚ましたか!!」
「えっ?母上・・・?」
ユリアはまだ意識がはっきりしないのか自分がどういう状況なのかを理解していなかった。
「ああ。そうだ。体は何とも無いか?」
「は、はい。痛みとかも何もありませんが・・・あ!?あの男はどうなったのですか!?」
ユリアはシェリルの言葉に答えながら、ようやく意識がはっきりしたのか慌てて起き上がると襲撃者の事を思い出し周りを見回す。
「大丈夫だ。恐らく、あの男は倒された」
動揺しているユリアに向かってシェリルの代わりにゾルムが答える。
「ゾルムおじ様。倒されたというのは真ですかっ!?もしかして、アリシアが?」
ユリアは母とは違う声の主を見ると、そう尋ねる。
「いや、娘も善戦はしたのだが倒したのは別の者だよ」
「・・・えっ?一体それはどういう・・・」
ユリアはゾルムが言う言葉が信じられなかった。
(あのリングには外から入ることのできない強固な結界が張られていたはずだ。それを破り、かつあの化け物のような男を倒したというのか・・・到底信じられない。だが、ゾルムおじ様がそのような嘘をつく訳も無いし本当の事なのか?)
ユリアはまだ混乱していた。
118
お気に入りに追加
1,445
あなたにおすすめの小説
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
ドラゴンなのに飛べません!〜しかし他のドラゴンの500倍の強さ♪規格外ですが、愛されてます♪〜
藤*鳳
ファンタジー
人間としての寿命を終えて、生まれ変わった先が...。
なんと異世界で、しかもドラゴンの子供だった。
しかしドラゴンの中でも小柄で、翼も小さいため空を飛ぶことができない。
しかも断片的にだが、前世の記憶もあったのだ。
人としての人生を終えて、次はドラゴンの子供として生まれた主人公。
色んなハンデを持ちつつも、今度はどんな人生を送る事ができるのでしょうか?
スキルを極めろ!
アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作
何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める!
神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。
不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。
異世界でジンとして生きていく。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる