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第365話

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「おぉぉぉぉぉぉっ!!」

棒を通じてリングを消失させたグレイが空中に突如投げ出されたマドッグに向かって頭を向ける。

浮いたマドッグに対して頭からグレイが落下するような形だ。

(この手は一度しか使えない。・・・ここで決める!【展開】!!)

グレイは自身の足の位置に今【格納】したリングを【展開】する。

リングはマドッグが逃げられないようにグレイを中心にリングの中央が来るように【展開】させる。

「なんだとっ!!貴様も死ぬつもりか!!」

マドッグが動揺するのも無理はない。

石のリングは直径は少なくとも50m、厚みは3mはあるのだ。

直撃すれば生身の人間が絶えられる重量ではない。

だとしても魔法を使えば対策は出来てしまう。

グレイはマドッグが逃げられないようにする必要があった。

ダンッ

グレイは自身よりも上空に出現させたリングにあろうことか着地し、地面に向けて飛ぶ。

(正気かっ!あの小僧は!!)

マドッグは空中で身動きが取れない中でグレイとリングに対応するために魔力を溜める。

「させるかっ!【展開】!!」

グレイは敢えて声を出しマドッグに対して更なる追撃を行う。

「・・・いかれてやがる。あの娘と同じように刺し違えるつもりか」

マドッグは自分が着地するはずの地面に文字通り剣山の如く大小さまざまな剣を地中に埋めた状態で出現させたグレイに対して憎々し気に呟く。

(だが、これを凌げばこいつに残された手段はない。待ってろ、最後に笑うのはこの俺だ)

マドッグは危機的状況の中で冷静を取り戻すと、グレイの勢いから計算して自分が剣山に着地する方が早いことを悟る。

マドッグは空中で体を捻り、比較的損傷が少なそうな場所に着地する。

ズバッ

地面に足が近づくにつれて剣山によって両足が損傷されていく。

(ふん。この程度の鈍らでは大した怪我にはならんぞ。初めは驚きこそしたが冷静になればどうという事もない)

マドッグは先に地面に足を着けたら、グレイ毎リングに大穴を開けようとまず拳を強く握る。

そして、両足が地面に着地し始める。

まずはつま先、そして踵。

集中しきっているマドッグはその動作一つ一つがとてつもなくゆっくりに感じられる。

(はーはっはっ!これでお前に勝てる!!)

マドッグは着地し始めるのを意識しながらもグレイに勝てることを確信し、笑みを深める。

そして、

グサッ

マドッグの踵に鋭い痛みが走った。
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