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第350話
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ドゴォォォォォォォン
アリシアの放った魔法がリングの上で炸裂する。
「「「・・・」」」
ゾルムを始め、貴賓席からリングの戦いを見守っていた誰もが目の前で起こったことが信じられず、思考を停止する。
だが、その中でも一人だけは違った。
その少年はただひたすらにリングの爆心地に向かって走り続ける。
今アリシアを救える可能性があるのは自分だけ・・・いや、必ず救うとグレイは迷わず進む。
『グレイ!あれは、特別な結界だ!中から外への移動は出来るが外から中への侵入は厳しいぞ!!』
イズがグレイの左肩からリングに張られている結界についての注意を促す。
「頼む・・・俺を通してくれ」
グレイはとても辛そうにイズにお願いする。
『っ!?・・・任せろ。我が何とかしてやる』
聞いたことのないグレイの声にイズは胸を締め付けられる。
目の前でアリシアが爆発に巻き込まれたのだ。
グレイの心中を想像するのは難しくなかった。
「・・・恩に着る」
グレイはそのまま結界に向かってノンストップで走り、そのままリングに上がるために飛び上がる。
スッ
結界がある場所を通過してもグレイを阻むものは何もなかった。
イズが何とかしてくれたのだ。
グレイは礼を言う時間さえ惜しみ、未だ土煙で見えない方へ駆け寄る。
「アリシアァァァァ!!!どこだ、どこにいる!!」
グレイは敵に見つかるリスクなど知ったことでは無いとばかりに大声を上げながら走り続け、アリシアの姿を探す。
『グレイ!右に10歩ほど歩いた所の足元だ!』
イズがアリシアの魔力を感じたのか、そうグレイに告げる。
バッ
グレイは視界が悪いのも気にせず、すぐにイズが指示した場所を迷いなく近づき、万が一にもアリシアを踏みつけないように足元に注力する。
『っ!?』
アリシアの姿を見つけたイズは声にならない声を上げる。
無惨な姿であった。
これだけ近づけば、目視でもはっきりと分かる。
全身に火傷を負い、服もかなりボロボロになっている。
素肌が見えるところは火傷をしているか血にまみれていた。
不幸中の幸いと言っていいのか四肢の欠損はなかった。
「アリシアっ!!!」
グレイはアリシアの無惨な姿を見ても一切躊躇わずに近寄ると、腕輪の力を使用してありったけの【エリクサー】を使う。
【エリクサー】の効果は流石で、アリシアの酷い傷が見る見る内に回復していく。
だが
「・・・どうしてだ・・・なんで、息をしないんだっ!?」
回復はとっくに終わっているにも拘らずアリシアの呼吸は止まったままであった。
「ふん・・・死んだか。まあまあ楽しめたな」
愕然としているグレイの背中から声が聞こえてくる。
いつの間にか視界が開けたのだろう。
声の主は間違いなくこちらを見ているのを肌で感じた。
「・・・悪い。イズ・・・」
グレイは来ていた上着をアリシアに掛け、イズにそう言う。
『任せておけ・・・アリシアは我がかならず何とかして見せる』
イズはグレイの左肩からアリシアの上にそっと乗ると何やら呪文を唱え始める。
「ありがとう」
グレイはアリシアを横抱きに持ち上げると、リングの端に横になっている女生徒の方に向かって歩いて行く。
「・・・」
グレイの無防備な背中を見たマドッグは戸惑っていた。
問答無用で攻撃を仕掛けようとしていたが体が動かなかったのだ。
(何だ?あいつは本当に俺がこの間戦ったグレイ・ズーなのか?)
マドッグが何もできずに見ている間にゆっくりとグレイがアリシアを女生徒の横に置く。
(ん?この人も怪我をしているのか)
グレイは横たわっている女生徒の怪我に気づくと【エリクサー】を使って回復する。
直ぐに傷は癒え、呼吸も穏やかになる女生徒。
グレイはもう一度アリシアとイズが必死で処置しているのを見て、
(アリシア・・・頼む。死なないでくれ)
ゆっくりと立ち上がり、仇敵の方に顔を向けた。
アリシアの放った魔法がリングの上で炸裂する。
「「「・・・」」」
ゾルムを始め、貴賓席からリングの戦いを見守っていた誰もが目の前で起こったことが信じられず、思考を停止する。
だが、その中でも一人だけは違った。
その少年はただひたすらにリングの爆心地に向かって走り続ける。
今アリシアを救える可能性があるのは自分だけ・・・いや、必ず救うとグレイは迷わず進む。
『グレイ!あれは、特別な結界だ!中から外への移動は出来るが外から中への侵入は厳しいぞ!!』
イズがグレイの左肩からリングに張られている結界についての注意を促す。
「頼む・・・俺を通してくれ」
グレイはとても辛そうにイズにお願いする。
『っ!?・・・任せろ。我が何とかしてやる』
聞いたことのないグレイの声にイズは胸を締め付けられる。
目の前でアリシアが爆発に巻き込まれたのだ。
グレイの心中を想像するのは難しくなかった。
「・・・恩に着る」
グレイはそのまま結界に向かってノンストップで走り、そのままリングに上がるために飛び上がる。
スッ
結界がある場所を通過してもグレイを阻むものは何もなかった。
イズが何とかしてくれたのだ。
グレイは礼を言う時間さえ惜しみ、未だ土煙で見えない方へ駆け寄る。
「アリシアァァァァ!!!どこだ、どこにいる!!」
グレイは敵に見つかるリスクなど知ったことでは無いとばかりに大声を上げながら走り続け、アリシアの姿を探す。
『グレイ!右に10歩ほど歩いた所の足元だ!』
イズがアリシアの魔力を感じたのか、そうグレイに告げる。
バッ
グレイは視界が悪いのも気にせず、すぐにイズが指示した場所を迷いなく近づき、万が一にもアリシアを踏みつけないように足元に注力する。
『っ!?』
アリシアの姿を見つけたイズは声にならない声を上げる。
無惨な姿であった。
これだけ近づけば、目視でもはっきりと分かる。
全身に火傷を負い、服もかなりボロボロになっている。
素肌が見えるところは火傷をしているか血にまみれていた。
不幸中の幸いと言っていいのか四肢の欠損はなかった。
「アリシアっ!!!」
グレイはアリシアの無惨な姿を見ても一切躊躇わずに近寄ると、腕輪の力を使用してありったけの【エリクサー】を使う。
【エリクサー】の効果は流石で、アリシアの酷い傷が見る見る内に回復していく。
だが
「・・・どうしてだ・・・なんで、息をしないんだっ!?」
回復はとっくに終わっているにも拘らずアリシアの呼吸は止まったままであった。
「ふん・・・死んだか。まあまあ楽しめたな」
愕然としているグレイの背中から声が聞こえてくる。
いつの間にか視界が開けたのだろう。
声の主は間違いなくこちらを見ているのを肌で感じた。
「・・・悪い。イズ・・・」
グレイは来ていた上着をアリシアに掛け、イズにそう言う。
『任せておけ・・・アリシアは我がかならず何とかして見せる』
イズはグレイの左肩からアリシアの上にそっと乗ると何やら呪文を唱え始める。
「ありがとう」
グレイはアリシアを横抱きに持ち上げると、リングの端に横になっている女生徒の方に向かって歩いて行く。
「・・・」
グレイの無防備な背中を見たマドッグは戸惑っていた。
問答無用で攻撃を仕掛けようとしていたが体が動かなかったのだ。
(何だ?あいつは本当に俺がこの間戦ったグレイ・ズーなのか?)
マドッグが何もできずに見ている間にゆっくりとグレイがアリシアを女生徒の横に置く。
(ん?この人も怪我をしているのか)
グレイは横たわっている女生徒の怪我に気づくと【エリクサー】を使って回復する。
直ぐに傷は癒え、呼吸も穏やかになる女生徒。
グレイはもう一度アリシアとイズが必死で処置しているのを見て、
(アリシア・・・頼む。死なないでくれ)
ゆっくりと立ち上がり、仇敵の方に顔を向けた。
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