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第318話

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「ふぅ・・・私《わたくし》とした事が失敗してしまいましたわ・・・」

セリスとの会話も終わり、また会場に戻る気になれなかったアリシアは自分の寮の部屋に戻って来てため息をつく。

「失敗と仰いますとグレイ様を紹介するということですか?」

メイドのサリアがアリシアに尋ねる。

もう夜も遅いのと【魔法武闘会】の応援のためにサリアもアリシアの寮にやってきていた。

「はい。私《わたくし》が余計な話をしたばっかりに・・・」

アリシアが苦い表情をする。

(お嬢様がそこまでグレイ様のことを思っていらっしゃるとは・・・これは旦那様にもお伝えしないといけませんね)

アリシアの真意がグレイに対する独占欲と捉えたサリアがない心で喜ぶ。

アリシアの父であるゾルムもグレイを気に入っているフシがある為、今日のエピソードは喜ばれるに違いない。

「大丈夫ですよ。グレイ様なら」

サリアは勘違いしたまま、アリシアにそう言う。

「そう・・・ですわね。きっとグレイなら大丈夫ですね」

アリシアはサリアの言葉を聞いてやっと心を落ち着かせる。

(・・・過ぎてしまった事は仕方がありません。まずは、明日の【魔法武闘会】の事に集中しましょう)

それからのアリシアは速やかに眠る準備をすると疲れていたこともありすぐに眠るのであった。



時は少し遡り、グレイの寮の部屋

『・・・どうした?眠れないのか?』

両手で紙を持ったまま、ベッドの窓から夜空を眺めていたグレイにイズが尋ねる。

「ん?ああ、そうだな・・どうやら緊張しているみたいだ・・・」

グレイはイズに言われて初めて自分が緊張していることに気がついたように答える。

無理もない。

グレイにとっては生まれて初めての大舞台なのだ。

しかもグレイ以外の参加者全員が貴族でそうでないのはグレイだけなのだ。

緊張するなというのが無理な話であろう。

『なるべく早く寝ないと持たぬぞ・・・お、それは明日の【魔法武闘会】のチラシか?』

グレイが持っている紙の内容に気が付いたイズが覗き込むようにする。

「ああ」

グレイはイズが見やすいようにベッドの上に紙を置いてやる。

それは王国中に配布されたものであったが、グレイが見たのは今日が初めてであった。

そこには魔法武闘会についての説明と簡単なルール、そして過去最大の参加者数という言葉と共に出場者の名前が記載されていた。

魔法学園6年生
1.ユリア・フォン・マギル       (前大会優勝者)
2.サイレス・バド・フォルム   (前大会準優勝者)
3.クォーツ・ゲイド
4.バルド・マーカス
5.イリス・マーガレット

魔法学園5年生
6.ヨイド・バルトス
7.ナリッジ・イーカム

魔法学園4年生
8.アリシア・エト・バルム
9.マードック・ゾルゲ
10.グレイ・ズー
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