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第279話
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「グレイ、目処は立ちましたか?」
アリシアとイズが部屋を出て【エリクサーの泉】に向かうとちょうどグレイがずっとしゃがみ込んだ体をほぐす為に立ち上がって体を伸ばしているところであった。
その様子を見たアリシアが一段落《いちだんらく》したと理解しグレイに確認をする。
「ん?ああ、アリシアにイズ。うん、延々と湧き出るから切りが無いしひとまず終わりにしようと思ってる」
アリシア達に背を向けて伸びをしていたため気づくのが遅れたグレイは少し遅れて返事をする。
「私《わたくし》もそれでよろしいかと思いますわ」
アリシアはちらりと【エリクサーの泉】を見ると、
「本当に枯渇しないのですわね・・・何だか感覚が麻痺してきた気がします」
その存在を知っていれば喉から手を出すほど欲しがられる【エリクサー】。
それが泉のようにあるだけでなく枯渇もしないことを目の当たりにすると自分の価値観がガラガラと崩れていってもおかしくは無い。
「・・・確かにそうだね」
グレイもアリシア同様【エリクサーの泉】をちらりと見ると同意する。
「アリシアはもうこのエリアを後にしても大丈夫?」
「はい。大丈夫ですわ。・・・来て良かったですわ」
アリシアが満足そうに返事をする。
「そう?それなら良かった。確か前に迷宮に来たがっていたと思ったから一度連れて来たかったんだ・・・とは言え、実際にはアリシアに連れてきてもらった形になっちゃったけど」
グレイが魔法陣を書いたとはいえ、アリシアが呪文を見出し、発動しなければ来ることが出来なかった。
そのことを言っているのだろう。
グレイが少し照れながら応える。
「ふふふ。また、必要とあればいつでも言ってくださいね」
アリシアはグレイの恩を着せないように配慮したであろう言い回しに笑みを浮かべる。
「ありがとう。さて、そろそろ行こうか・・・皆も待っているだろうし」
「はい。そうしましょう」
皆とは魔人形達のことだろう。
グレイはそう言うとアリシアよりも前に出るようにして地下101階に向かう階段を目指し歩き出す。
後に続こうとしたアリシアは思わず足を止める。
(グレイの背中ってこんなに大きかったかしら?)
アリシアは歩くのも忘れてグレイの背中を改めて見て驚く。
アリシアがグレイの背中を目に焼き付けるくらいに見たのはナガリアの執事であった『闇朧』に殺されかけた瞬間駆けつけてくれた時であった。
その時も中肉中背のグレイの背中が頼もしく見えたものだが今のように大きく見えた訳ではなかった。
(きっとグレイのしている色々な経験が活きているということですわね・・・)
「あれ?アリシア?どうかしたか?」
アリシアの足音が聞こえなかったからだろう。
グレイが階段の前で振り返るとまだ【エリクサーの泉】の前で何かに驚いている様子のアリシアを見て声を掛ける。
「いえ、何でもありません。今行きますわ」
声をかけられたアリシアは慌ててグレイの傍に向かって行く。
「そう?なら行こうか」
「はい」
グレイの言葉に頷くアリシア。
グレイの後ろに付いていくアリシアは大きくなった背中を見ながら思う。
(私《わたくし》もグレイに頼られるように頑張らないといけませんわね)
グレイが聞いたら、これ以上頑張らないで!と言いそうなことを思っていたアリシアであった。
アリシアとイズが部屋を出て【エリクサーの泉】に向かうとちょうどグレイがずっとしゃがみ込んだ体をほぐす為に立ち上がって体を伸ばしているところであった。
その様子を見たアリシアが一段落《いちだんらく》したと理解しグレイに確認をする。
「ん?ああ、アリシアにイズ。うん、延々と湧き出るから切りが無いしひとまず終わりにしようと思ってる」
アリシア達に背を向けて伸びをしていたため気づくのが遅れたグレイは少し遅れて返事をする。
「私《わたくし》もそれでよろしいかと思いますわ」
アリシアはちらりと【エリクサーの泉】を見ると、
「本当に枯渇しないのですわね・・・何だか感覚が麻痺してきた気がします」
その存在を知っていれば喉から手を出すほど欲しがられる【エリクサー】。
それが泉のようにあるだけでなく枯渇もしないことを目の当たりにすると自分の価値観がガラガラと崩れていってもおかしくは無い。
「・・・確かにそうだね」
グレイもアリシア同様【エリクサーの泉】をちらりと見ると同意する。
「アリシアはもうこのエリアを後にしても大丈夫?」
「はい。大丈夫ですわ。・・・来て良かったですわ」
アリシアが満足そうに返事をする。
「そう?それなら良かった。確か前に迷宮に来たがっていたと思ったから一度連れて来たかったんだ・・・とは言え、実際にはアリシアに連れてきてもらった形になっちゃったけど」
グレイが魔法陣を書いたとはいえ、アリシアが呪文を見出し、発動しなければ来ることが出来なかった。
そのことを言っているのだろう。
グレイが少し照れながら応える。
「ふふふ。また、必要とあればいつでも言ってくださいね」
アリシアはグレイの恩を着せないように配慮したであろう言い回しに笑みを浮かべる。
「ありがとう。さて、そろそろ行こうか・・・皆も待っているだろうし」
「はい。そうしましょう」
皆とは魔人形達のことだろう。
グレイはそう言うとアリシアよりも前に出るようにして地下101階に向かう階段を目指し歩き出す。
後に続こうとしたアリシアは思わず足を止める。
(グレイの背中ってこんなに大きかったかしら?)
アリシアは歩くのも忘れてグレイの背中を改めて見て驚く。
アリシアがグレイの背中を目に焼き付けるくらいに見たのはナガリアの執事であった『闇朧』に殺されかけた瞬間駆けつけてくれた時であった。
その時も中肉中背のグレイの背中が頼もしく見えたものだが今のように大きく見えた訳ではなかった。
(きっとグレイのしている色々な経験が活きているということですわね・・・)
「あれ?アリシア?どうかしたか?」
アリシアの足音が聞こえなかったからだろう。
グレイが階段の前で振り返るとまだ【エリクサーの泉】の前で何かに驚いている様子のアリシアを見て声を掛ける。
「いえ、何でもありません。今行きますわ」
声をかけられたアリシアは慌ててグレイの傍に向かって行く。
「そう?なら行こうか」
「はい」
グレイの言葉に頷くアリシア。
グレイの後ろに付いていくアリシアは大きくなった背中を見ながら思う。
(私《わたくし》もグレイに頼られるように頑張らないといけませんわね)
グレイが聞いたら、これ以上頑張らないで!と言いそうなことを思っていたアリシアであった。
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