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第272話

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『すまなかったグレイ!!』

グレイの説明を求める問いに対し、イズが頭を勢いよく下げる。

「謝らなくて良いからひとまず状況を教えてくれないか?」

グレイは目の前の十数体の膝を着いて頭を下げている魔人形達を見渡しながら、イズに再度説明を求める。

『ああ。グレイはもうこの迷宮の主だからな。当然、魔人形達もお主の所有物のようなものになったんだ。だから、こうしてお主からの命令を待っているという訳だ』

「なるほど。そういう事だったのか・・・というか、イズ。分かってたんならさっさと知らせてくれよ。正直死ぬかと思ったぞ、、、」

グレイはイズを半眼で見ながら少しだけ責めるように言う。

「・・・二度とやらないでください」

グレイよりも遥かに重みのある言葉でアリシアが続く。

『はっはい!畏まりました!!申し訳ございませんでした!!!』

イズは完全に心が折れたのか、アリシアの言葉に対して全力で従おうと返事をする。

「ふぅ・・・まったく、勘弁してくださいね」

アリシアは流石に大人げないと思ったのか、いつもの雰囲気に戻る。

『あ、ありがとうございます!!』

イズはアリシアの態度が軟化したことを瞬時に感じ取るとホッとしたように元気よく返事をした。

「それで、イズ。俺はどうしたらいいんだ?」

イズが落ち着いたので、グレイは今後のことを相談することにした。

『ん?グレイの好きにしたらいいと思うぞ』

イズは淡々とグレイの質問に答える。

(何か、アリシアのときと態度が違い過ぎる気がするが、まあいいか)

グレイはもう少し怒りを示した方が良かったかとちらりと頭を過ぎったが、まあいいかと底には触れないようにする。

グレイとしては、アリシアを危険な目に合わせてしまうという事に対して動揺したが脅威が去ったのであれば次の事に頭を切り替えようという思考に至ったのだ。

ただ、再び似たようなことをイズにされたら大いに困るが、それに関してはアリシアが言い含めてくれたので、グレイとしては先ほどの件はもう終わったことと捉えていた。

「うーん。そうは言うが、魔人形は具体的にはどんなことが出来るんだ?そもそも意思はあるのか?」

イズのざっくりな言葉に対し、続けて質問をするグレイ。

『学習能力が高いからな。割と何でもできるぞ。意思に関しては本人に直接聞くが良い。おい、【リーダー】。新しいボスのお望みだ。質問にお答えするが良い』

イズはグレイの質問に答えながら途中からまるで魔人形に話し掛けるように口を開く。

グレイもそしてアリシアも魔人形がしゃべるわけはないと思っていたので「「懲りずにまたか?」」と訝しむ。

だが、その疑問は次の瞬間、すぐに解消される。

【・・・畏まりました。では、私からご主人様の御質問にお答え致しましょう】

「「っ!?」」

魔人形達の真ん中にいる一体が意外にも流暢に話始めたのであった。
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