他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

第254話

「・・・うう」

気絶していたグレイは目を覚ますとゆっくりと目を開ける。

「すみませんでした。大丈夫でしたか？」

グレイの顔を覗き込むようにしながら申し訳なさそうに声を掛けるアリシア。

「えっ？・・・ああ。大丈夫大丈夫」

グレイは目の前に人形のように整ったアリシアの顔が近くにあることにドギマギしながら答える。

（ひょっとしなくてもこれって、膝枕されてるよな）

少し冷静になったグレイは自分が置かれた状況を理解し始める。

（通りで、後頭部が気持ちいわけだ）

冷静を保つためにどこか他人事のように考えるように努めるグレイ。

（うん。このままだと、心臓がどうにかなってしまうな）

グレイはゆっくりと起き上がろうとする。

「まだ起きない方がよろしいかと思いますよ！」

アリシアが慌ててグレイを起きるのを止めようとする。

グレイはそれを大丈夫という事をジェスチャーで示しながらゆっくりと上半身を起こす。

（確かに少しめまいがするな・・・だが、あの状況だと体以外がもたないし・・・）

グレイは直ぐに口の中に【エリクサー】を出すと直ぐに飲み干す。

途端に体調が良くなる。

（よし。これで大丈夫だ・・・それにしても今の状況を他の生徒が見たい無くて良かった。折角認められ始めたのに、全てパーになるところだった・・・）

グレイは冗談でもなく、本気でそう思いながらほっとする。

「どうやら気絶してたみたいだね。アリシア、ありがとう。」

グレイは回復するや、いまだに心配そうに自分を見てくるアリシアの方に顔を向けお礼を言う。

「とんでもないですわ。元はと言えば私《わたくし》の所為ですし。本当に申し訳ございません。体は大丈夫ですか？」

アリシアが首を振りながらグレイを心配する。

「うん。起き上がったときは少しふらついたけど直ぐに【エリクサー】を飲んだからほら、この通り」

グレイはアリシアを安心させようとその場でジャンプしたり活動的に動いて見せる。

「ほっ、安心致しました」

アリシアがグレイの様子を見てほっとする。

「それで、一体何があったんだっけ？」

グレイは意識が混濁しているのか自分が何故気絶していたかが思い出せない。

『・・・お主は、アリシアの想定外の攻撃に当たって気絶していたのだ』

いつの間にかアリシアの右肩に止まっていたイズもアリシア同様ほっとしながらグレイに何が起こったのかを伝える。

「イズ・・・想定外の攻撃だって・・・？」

グレイはイズの言葉を復唱しながら自身に何が起こったのかを思い出そうとする。

すると、イズの言葉もあって段々と記憶が鮮明になってくる。

（そうか・・・模擬戦をしている最中にアリシアが突然消えて攻撃を受けて気絶してしまったんだった）

グレイは自分が何故気絶したかを思い出す。

思い出したは良いが逆にグレイの頭の中に疑問符が溢れだす。

（というか、何だ？突然消えたって・・・？）

「・・・アリシア？」

グレイは先ほど起きたことが何だったのかを確認することにした。