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第233話
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「「「っ!?」」」
グレイがアリシアと教室に戻ると会話を禁止されているクラスメイトのほとんどが声を出さずに驚く。
(ズーだけ戻ってきたという事は・・・)
(嘘だろ・・・まさか、あのナイルが負けたのか・・・)
言葉には出さないがクラスメイト達の表情から何を考えているのかが直ぐに分かった。
「アリシア」
教室内で話すことのできるセリーがアリシアに話し掛ける。
「ええ。グレイの勝利よ」
アリシアがセリーにしか聞こえないくらいの声でグレイの勝利を告げると、それを受けたセリーはアリシアの言葉に頷くと黒板に記載した対戦表にグレイが勝ったことを示すようにナイルの所には×印をつけ、グレイの所は二回戦に進むように線を太くする。
「「「!?」」」
セリーが書く内容を見たクラスメイト達は改めて衝撃を受ける。
中には見間違いなのかと目をこすっては何度も見る者もいる位であった。
「・・・」
グレイは予想通りのクラスメイト達の反応には気にも留めずに席に戻る。
(ん?)
席に座る瞬間視線を感じてそちらの方を見る。
「・・・」
そこには、満足そうな顔をしたゾルゲがグレイをじっと見ていた。
ニィ
ゾルゲはグレイの視線が自分の方に向いたことを理解すると口角を上げ、獰猛な笑みを浮かべる。
(ナイルを倒すとはな。流石だグレイ。それでこそ俺を倒した男だ)
グレイはゾルゲの表情に合わせて笑みを返す。
(再戦するんだろう?お前も勝てよ)
不思議とゾルゲとグレイはそれぞれの考えが分かるような気がした。
時間にしては一瞬のようなものだったが、二人はやり取りを終えると視線を合わせるのを止める。
グレイは席に着き、ゾルゲは前に目を向ける。
(グレイもゾルゲさんも随分仲が良くなりましたわね。何よりですわ)
アリシアはグレイとゾルゲのやり取りを見た後、表情には出さないが微笑ましいと思った後、自分の役目を果たすためにクラスメイト達に向かって声を掛ける。
「それでは次のお二人は付いて来て下さい」
アリシアが声を掛けると男子生徒と女子生徒が席を立つ。
それを見たアリシアは先頭を歩き2人を誘導し始めた。
アリシアたちが教室を出て行った後、グレイは少しでも体力を回復させようと机に突っ伏すようにして目を閉じる。
喋らなければ何をしてもいいので勉強でもしようと思ったが疲れた体はとてもそんな気分になれなかったのだ。
ユイが回復薬を使っていいとは言っていたがグレイはそれを使う気にはなれなかったのだ。
(流石に【エリクサー】を使うのは反則だしな・・・少しでも体力を回復させよう)
グレイは疲れのお陰で変な体勢であってもすぐに眠りにつくことができた。
そんなグレイの様子を後ろから見ていたゾルゲは、
(ナイルのことだ。俺の忠告に関しては半信半疑だったとは言え、戦う時には全力を尽くしたに違いない。奴の実力は俺が一番分かっているが・・・それでもグレイには勝てなかったか・・・面白い。どうやら俺と戦った時よりも格段に強くなっているようだな)
グレイと戦うとしても【魔法武闘大会】本選であるが、不思議とゾルゲはそれが実現される未来を信じていた。
グレイがアリシアと教室に戻ると会話を禁止されているクラスメイトのほとんどが声を出さずに驚く。
(ズーだけ戻ってきたという事は・・・)
(嘘だろ・・・まさか、あのナイルが負けたのか・・・)
言葉には出さないがクラスメイト達の表情から何を考えているのかが直ぐに分かった。
「アリシア」
教室内で話すことのできるセリーがアリシアに話し掛ける。
「ええ。グレイの勝利よ」
アリシアがセリーにしか聞こえないくらいの声でグレイの勝利を告げると、それを受けたセリーはアリシアの言葉に頷くと黒板に記載した対戦表にグレイが勝ったことを示すようにナイルの所には×印をつけ、グレイの所は二回戦に進むように線を太くする。
「「「!?」」」
セリーが書く内容を見たクラスメイト達は改めて衝撃を受ける。
中には見間違いなのかと目をこすっては何度も見る者もいる位であった。
「・・・」
グレイは予想通りのクラスメイト達の反応には気にも留めずに席に戻る。
(ん?)
席に座る瞬間視線を感じてそちらの方を見る。
「・・・」
そこには、満足そうな顔をしたゾルゲがグレイをじっと見ていた。
ニィ
ゾルゲはグレイの視線が自分の方に向いたことを理解すると口角を上げ、獰猛な笑みを浮かべる。
(ナイルを倒すとはな。流石だグレイ。それでこそ俺を倒した男だ)
グレイはゾルゲの表情に合わせて笑みを返す。
(再戦するんだろう?お前も勝てよ)
不思議とゾルゲとグレイはそれぞれの考えが分かるような気がした。
時間にしては一瞬のようなものだったが、二人はやり取りを終えると視線を合わせるのを止める。
グレイは席に着き、ゾルゲは前に目を向ける。
(グレイもゾルゲさんも随分仲が良くなりましたわね。何よりですわ)
アリシアはグレイとゾルゲのやり取りを見た後、表情には出さないが微笑ましいと思った後、自分の役目を果たすためにクラスメイト達に向かって声を掛ける。
「それでは次のお二人は付いて来て下さい」
アリシアが声を掛けると男子生徒と女子生徒が席を立つ。
それを見たアリシアは先頭を歩き2人を誘導し始めた。
アリシアたちが教室を出て行った後、グレイは少しでも体力を回復させようと机に突っ伏すようにして目を閉じる。
喋らなければ何をしてもいいので勉強でもしようと思ったが疲れた体はとてもそんな気分になれなかったのだ。
ユイが回復薬を使っていいとは言っていたがグレイはそれを使う気にはなれなかったのだ。
(流石に【エリクサー】を使うのは反則だしな・・・少しでも体力を回復させよう)
グレイは疲れのお陰で変な体勢であってもすぐに眠りにつくことができた。
そんなグレイの様子を後ろから見ていたゾルゲは、
(ナイルのことだ。俺の忠告に関しては半信半疑だったとは言え、戦う時には全力を尽くしたに違いない。奴の実力は俺が一番分かっているが・・・それでもグレイには勝てなかったか・・・面白い。どうやら俺と戦った時よりも格段に強くなっているようだな)
グレイと戦うとしても【魔法武闘大会】本選であるが、不思議とゾルゲはそれが実現される未来を信じていた。
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