他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

第169話

「理想を言うと、午前中は座学・・・というか一月分の授業の復習。そして午後に実戦訓練を誰にも見られない場所で行いたいんだけどこれって何とかなったりするかな？」

グレイは思い切ってアリシアに要望を言う。

グレイとしては早朝の訓練をしているため午前中に訓練を行わず、午後に充てたいと考えているようだ。

「誰にも見られない場所ですか？そうですわね・・・」

アリシアはグレイの考えを何となく悟り、考え始める。

「・・・後で、ユイ先生に相談してみましょう。『【魔法武闘大会】に参加するまでの間、手の内を悟られることを避けたいため午後だけでも人の目に触れる事無く訓練ができる場所をお貸しくださいませんか？』とすれば便宜をはかってくださるかもしれませんわ」

「ありがとう。アリシア。先日のモリアスの町でのことといい、この前のユーマリア様の件といい、助けてもらってばかりで本当に申し訳ない」

アリシアがグレイを特別目立たせないように配慮してくれていることに感謝し頭を下げるグレイ。

「お気になさらなくて大丈夫ですわ。私《わたくし》がグレイさんにして頂いたことに比べたら本当に些細なことですから。さて、このお話はここまでにして残りの時間を座学に充てましょう」

アリシアはグレイの言葉に首を振って否定した後、そのように促す。

「ありがとう。分かったよ」

グレイは再び感謝すると午前中の残りの時間を復習の時間とするのであった。





ガチャ

「さあ、入れ」

「失礼致しますわ」

「失礼します」

ユイに案内されてアリシア、グレイの順に入ったのは頑丈な扉が特徴の窓１つない教室くらいのサイズの部屋であった。

コンコン

「凄いですね」

グレイが壁に対して軽く拳でノックしその頑丈さを確認しながら呟く。

「そうだろう。部屋自体が頑丈な造りをしているだけではなく、魔法陣によって強度を増加し、更に防音機能や自己修復機能を付与してある。天井の高さが低いことを除けばこれだけ良い訓練室はあるまい」

グレイの言葉に満足そうな顔をしたユイは得意そうに答える。

「このような良い部屋を使ってもよろしいのですか？」

アリシアが思った以上の理想的な訓練室を紹介されたことに対して思わず確認をとる。

午前中を座学にて集中した後、昼休み中にユイのところを訪ねたアリシアとグレイは、駄目で元々のつもりで訓練室の要望を出すと二つ返事で快諾された。

そして、この部屋に案内してもらったのである。

「もちろんだ。アリシア・エト・バルムよ。君の【魔法武闘会】での活躍を期待しているからな。もし、君から訓練室を貸してくれと言われた時のために確保しておいたのだよ」

「ありがとうございます。ご期待に添えるかは分かりませんが尽力致しますわ」

アリシアはユイに感謝の気持ちを言葉で示した。