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第167話

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「では、消してしまいますわね」

グレイの言葉に満足したアリシアは小さく歌いながら楽しそうに黒板の文字を消していく。

グレイはふと気づいたことをアリシアの背中に尋ねる。

「あれ?【魔法武闘会】って結構な観戦者が各地から来るんだよね?もしかして宿泊施設とかもあるの?」

アリシアは黒板を消し終えるとグレイの方に向かいながら、

「はい。御座いますわよ。宿泊施設どころか飲食店や雑貨などの店も結構出ますわ。早い方は大会日の一週間前くらいにはいらっしゃいますからね、その間飽きさせないように規模も大きいです」

そう答えた後、自分の席に座る。

「あ、もちろん大会会場自体には入れませんわ」

「・・・なるほど、お祭りみたいなものなんだな。魔法学園にとっても良い収入源ってわけか」

グレイはまだ見たことは無いがその光景を想像し呟く。

「仰る通りですわね。やって来るのは上流貴族も多いですからね。【魔法武闘会】に関わる金銭的な動きな相当なものでしょう」

(グレイったら今の話からそのことに気がつく何て、素晴らしいですわ)

アリシアはグレイの想像力に感心しながら肯定する。

「・・・もしかして、【魔法武闘会】を観戦すること自体もお金がかかるのかな?」

(そんなに注目される大会なら席の代金も相当な可能性がある。俺が出場できるできないは別としてアリシアの応援はしたい。チケットが取れないという結果は避けたいんだが・・・)

グレイは冷や汗をかきながらアリシアに尋ねる。

「はい。もちろんですわ。観戦席は全てが指定席で例年通りでしたら一月前には完売してしまいます」

「・・・そうか・・・」

アリシアの言葉を聞いてグレイはあからさまにがっかりする。

その様子に気づいたアリシアはグレイが自分の試合を観戦したかったのだと察し、内心で喜びながら、

「もしかして、私《わたくし》の試合を観戦してくださろうとしていたのですか?」

グレイからそうだと言ってもらいたくて思わず尋ねる。

グレイはすぐさま頷くと、

「もちろんだよ。アリシアと接点を持ってから俺の立場で見ることが出来そうな初めての晴れ舞台だろ?見逃したくは無かったんだがなぁ・・・」

あまりにもストレートなグレイの言葉にアリシアはとても嬉しくなりながら、

「ふふふふ、ありがとうございます。そのお気持ちとても嬉しいですわ」

と喜びを満面の笑みで答えながら、

「御安心ください。4年生以降は希望すれば観戦可能ですからそのヒアリングがあった一月前にグレイさんの分も申し込んでおきましたわ」

そう言うと、アリシアはいつの間にかどこからか取り出していた2枚のチケットをグレイに見せ、その内の1枚をグレイに渡す。

「あ、ありがとう!!」

グレイはとても嬉しそうにアリシアに礼を言うとチケットをまじまじと見つめる。

「ふふふ、どういたしまして」

アリシアはそんなグレイの様子を嬉しそうに見ながら返事をしたのであった。
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