他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

第166話

「それでは、実際の【魔法武闘会】の勝敗の決め方をご説明しますわ」

アリシアが黒板に勝敗の決め方と書きながら説明を続ける。

「簡単に言いますと①相手を気絶させる②相手を場外に落とす③相手に降参と言わせるの3つです。それに至るまでの方法としては魔法であろうが武闘であろうが関係ありません」

アリシアがそれぞれを黒板に書きながら一つずつ説明をする。

「えっ・・・それだけ？」

聞いていたグレイはあまりの単純さに驚く。

（だって魔法学園だぞ？魔法メインじゃないのかよ・・・）

「はい」

アリシアはにっこりと微笑みながら答える。

「グレイの表情からすると、『魔法学園』なのに魔法無しでもいいのか？とお考えのようですが、他国の魔法学園はいざ知らず、少なくともここの魔法学園では必ずしも魔法を行使できる者でなくても構わないのです。つまり、『魔法に対抗できる者』であっても構わないのです。・・・非常に申し訳ございませんがグレイが入学できたのにもそう言う理由があるのだろうと思いますわ」

アリシアが申し訳なさそうにグレイに答える。

「・・・なるほど。良く理解できた」

グレイは自分が魔法学園に入学できた理由がようやく理解できた。

当時は必死で勉強していたため座学は得意であったことと、実技試験に関しては魔法に恐れず立ち向かうことができたことが評価されたに違いない。

「もしかして、アイテムの使用もOKなのかな？」

グレイは一番気になっていたことを尋ねる。

「ええ。剣を使ったり魔導書を使ったりするくらいですからその縛りはありませんわ」

アリシアがはっきりと肯定する。

グレイは自分が嵌めている腕輪を眺めながら、

「なるほど、それでアリシアが俺なら代表者になれると言ってくれたんだ」

「はい。あれだけのことを経験してきたグレイなら【魔法武闘会】はともかくこのS組の代表者なら問題なく狙えると思いますわ」

「ありがとう。・・・ちなみにアリシアがそこまで俺に【魔法武闘会】に出て欲しそうな理由は何か聞いても良いかな？」

グレイはアリシアが自分を【魔法武闘会】に出場させたそうな雰囲気を感じ取り、気になって尋ねる。

アリシアはその問いは意外だったのか少しだけ沈黙すると、

「それはグレイがバルム家の『付き人』に相応しい人物ということを知らしめたいからですわ」

胸を張って答える。

グレイは、アリシアの顔以外に目線が行くことを堪えながら、

「・・・それで本音は？」

と尋ねると、

「・・・・・・グレイが馬鹿にされているのが許せないから、周りに実力を見せつけて欲しいのですわ」

アリシアは少し身を縮ませながら、ぼそりと答える。

「・・・その気持ちは嬉しいけど、買い被り過ぎだよ」

グレイはアリシアの期待に応えられない可能性が高いことを感じていたため正直に答える。

アリシアはその言葉を聞いて、

「そんなことは・・・」

そんなことはないと言おうとしたところへ被せるように、

「まぁ、やれるだけのことはしてみるよ」

グレイが照れ隠しにそっぽを向きながらぽつりと呟く。

「・・・ええ。もちろんそれで構いませんわ」

アリシアはグレイの言葉に満足すると嬉しそうに言葉を返したのであった。