他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

第159話

ガラガラガラ

「皆、おはよう！」

高らかな声で挨拶をしながら黒い長髪を一本に結んだ女性教諭がS組の教室に入ってくる。

「「「おはようございます！！！」」」

（うぉっ！？）

クラスメイトの一糸乱れぬ返事にグレイが内心驚く。

（こんなにも声を揃えるなんて・・・一体俺がいなくなった1か月の間に何があったんだ？）

グレイの驚きなど関係なく、女性教諭・・・ユイは教卓まで颯爽と辿り着く。

「ふむ・・・今日の休みセリー・アイルバーグとエルリック・バスターだけだな」

ユイが教室中を見回し、出欠を確認する。

そして、アリシアの方を向き、

「アリシア・エト・バルムよ。万事上手く行ったようだな」

「はい。ありがとうございますわ」

どこまで知っているのか、ユイの理解しているような言葉に対し、アリシアがはっきりと肯定する。

周りのクラスメイトは何のことだか分からないがアリシアのことなため、会話に集中する。

「うむ。それは何よりだ。そして・・・」

ユイはアリシアの隣のグレイを見る。

「グレイ・ズーよ。よく無事で帰ってきた。私は嬉しく思う」

「・・・ありがとうございます」

まさか自分にまで話しかけられるとは思っても居なかったため、少し間を開けてから返事をするグレイ。

事情を知らないクラスメイトがざわつく。

全員がざわついている訳では先ほどゾルゲが言ったことは正しいのだろう。

「1か月分の遅れはきついだろうが頑張ってくれ。もし分からないことがあれば遠慮なく聞きに来てくれて構わない」

「ありがとうございます。助かります」

「うむ」

ユイはグレイとのやり取りに満足そうな顔をすると、クラスメイト全員に向き、

「さて、諸君授業を始める！・・・がその前に、皆に発表がある」

「！？・・・もしかして、それって」

「そうよ、きっとそうだわ！」

「おお！ついに！！」

ユイがそう宣言をすると、クラスメイト達のテンションが明らかに上がる。

（・・・何だ？）

一人グレイは話に付いていけていない。

そっとアリシアの方を向くと、

（あ、やっぱりアリシアは知っていそうだな）

落ち着いた様子からグレイはそう判断する。

（まぁ、成り行きを見守ろう）

グレイはここでアリシアに尋ねてもユイの話の邪魔になると思い、耳を傾ける。

「どうやら知っている者も多いようだな」

ユイは周りの生徒の反応を見てそう呟いた後、

「そうだ。いよいよこの魔法学園の真骨頂である【魔法武闘会】を開催する！！」

「「「おおおおおおお！！」」」

「いよいよですわね！」

「私の力を示す時がようやく来たようね！」

「ふははははは！！」

ユイの宣言に対して、クラスメイト達があり得ないくらい騒ぎ始める。

アリシアでさえ、声に出しはしないものの、やる気満々の表情になっていた。

（【魔法武闘会】？何だそれは？？）

ただ一人グレイだけが蚊帳の外であった。