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第153話

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「ああ!アリシア様よ!!」

「しばらくお目にかかれなかったけど、お会いできて最高ですわ」

「・・・神々しい」

「お近づきになりたい・・・何だあの後ろにいる奴は」

「ほら、この前恐れ多くもアリシア様の『付き人』になったという」

「ああ。あの平民か」

「アリシア様に上手く取り入ったから『S組』にも入ったっていうあいつか」

周りからはそのような声が聞こえてくる。

エルリックの家から帰って一夜明けた本日は火曜日。

グレイはアリシアを迎えにいつもの貴族女子寮まで行き、一緒に登校する。

ちなみにアリシアの親友であるセリーは体調を崩しているそうで今はアリシアとグレイの二人だ。

アリシアの話しではセリーは数日の間休んでいたアリシアを心配してくれていて無事な姿を見て大いに喜んでくれたそうだ。

(相変わらず、アリシアさんは目立つなぁ。注目の的だ。・・・それにしても、俺まで知れ渡っているとは驚きだ・・・完全に目の敵にされているけど)

グレイは、校舎に向かう途中の周囲の生徒からの視線と言葉にテンションが下がる。

「グレイさん、気になさらないで良いのですよ。あなたが凄い事は私《わたくし》が良く分かっておりますので。よろしければ、皆さんの誤解を解きましょうか?」

アリシアがグレイの様子を慮り、小声でそう告げる。

「ありがとう。でも、キリがないし目立っても嫌なのでそれは良いよ」

グレイも小声で話に応じながらそのように答える。

「そうですか・・・それなら仕方がありませんわね」

意外にもアリシアはがっかりしたようなトーンで答える。

(何でアリシアさんががっかりしているのだろうか・・・)

グレイは気になったが、その事に触れるのは不味い気がして別の話題をアリシアに尋ねる。

「セリーは大丈夫そうなの?」

周りに聞こえない声量で話しているため、アリシアと二人の時のしゃべり方である。

「はい。ただの風邪みたいですから二、三日すれば大丈夫ですわ」

「そうか。なら良かった・・・」

グレイがセリーの症状が軽いものだと知り、安堵する。

グレイは【エリクサー】をアリシアに持たせてセリーに飲ませることも考えたが、

(流石に風邪に対して【エリクサー】を使うのもリスクがあるよなぁ)

首を振って考えを振り払う。

まだまだ【エリクサー】の在庫は大量にあるため、普段使いをしているグレイからして見ればセリーに対して使うのは吝《やぶさ》かではないがどこで発覚するかも分からないため控えるべきだろう。

グレイが自己完結していると、アリシアが不満そうな顔でこちらを見ていることに気が付く。

もう少しで頬を膨らませそうな雰囲気だ。

「ど、どうしたのアリシアさん?」

グレイは、小声で動揺しながらアリシアの名前を呼んだ。
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