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第148話

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御当主の申し出に私《わたくし》は首を振ります。

「御心遣いありがとうございます。ですが、少しでも早く王都に戻りたいと思います」

「・・・畏まりました。御多忙な中お呼び立てしてしまった上、このような事になってしまい申し訳ございませんでした」

御当主が申し訳無さそうに頭を下げられます。

それに続いてエルリック様も頭を下げられました。

「何を仰るのですか、御息女が元気になられて何よりです」

「・・・聖女様・・・ありがとうございます」

「ありがとうございます」

どうしてでしょう私《わたくし》は当たり前のことを言っただけですのに更に感謝されてしまいました。

「エルリック、聖女様が戻られる手配を頼めるか?」

「畏まりました」

その後、御当主がそう言うと、エルリック様がテキパキと段取りをしてくださいました。

そして、あっという間に王都へ戻る馬車の中です。

御当主はせめてお受け取り下さいと手土産をお渡し下さろうとなさいましたが、私《わたくし》は丁重にお断りしました。

その代わりとばかりに通常よりも沢山の護衛の方をつけてくださり、もう周りも暗いためこちらに関しましては素直に甘えることに致しました。

私《わたくし》は御者の方や護衛の方が放つ光のお陰で窓から辛うじて見える風景を眺めます。

「・・・アリシア・エト・バルム様ですか・・・」

頭を過ぎるのはエルリック様が語った衝撃的な話です。

先代聖女が治せなかった不治の病【魔力過大病】。

3大貴族の御方ですので魔法に長けていらっしゃるとは思いますが、この病を聖女でもない方が治してしまわれるとは・・・。

例え、一度しか使えないとは言え、とんでもない業績と言っても過言ではありません。

しかも、アリシア様は私《わたくし》と同年代の方という話でした。

正直、これほどの方に興味を持たないという選択肢はありえません。

「今は、お会いしに行けませんが是非ともお話をしたいです」

正直、聖女となってから3年が経ち、歴代最高峰と言われるようになってしまった私《わたくし》には既に張り合える方が居なくなってしまいました。

どのような原理かは分かりませんが、聖女となると歴代の聖女の知識や技術を継承されます。

聖女になりたての頃はその知識や技術を扱えるようになるまでに時間が掛かってしまいましたが今となってはそのようなことも無く、治療魔法に関しての限界を感じておりました。

そのような状況で知ることが出来たアリシア様の存在は、今の状況の私《わたくし》にとってかなり興味深いものでした。

もしかしたら歴代の聖女達が蓄積して来たものとは異なる知識や技術を知ることが出来るかもしれません。

私《わたくし》はいつかアリシア様とお会いする時をとても楽しみに感じます。

「そうですわ・・・王都に戻りましたらアリシア様の事を調べて戴きましょう」

我ながら名案を思いついた私《わたくし》はどのような事を調べてもらうかを考えながら王都に向かいました。
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