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第145話

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エルリックがユーマリアの部屋に戻ると親子3人で喜び合っていた。

流石に嬉し泣きをし過ぎたエルリックは落ち着いており、父母には水の入ったコップをユーマリアには先程使っていたコップに水を注ぐ。

「「ありがとう」」

「ありがとうございます」

3人はエルリックに礼を言うと、水を飲み干す。

「ふぅ。驚いたぞ。とてつもなくな。まぁ、こういったサプライズなら大歓迎だけどな」

エルリックの父が笑いながら言う。

当然ではあるが嬉しくて仕方がないようだ。

「ほんとね。一体どうして治ったの?」

「そうだ、それを聞きたかったんだ」

エルリックの母の言葉に賛同し父も聞いてくる。

「話すのは良いですが、その前に教えてください」

エルリックは父母を見ながら前置きをする。

「なんだ?」

父が代表してエルリックに聞いてくる。

「はい。お二人は聖女様にユーマリアを治療をダメ元でもいいからお願いするためにお出掛けになられたのですよね?もしかして、お待たせしているなんて事は・・・?」

エルリックは気になっていた事を尋ねる。

「「・・・」」

すると父母は揃って同時に沈黙する。

「そうだった!!あまりの事に忘れていた!!」

早く我に帰った父が騒ぎ始める。

「あなた。早く行かれた方が良いですわよ!」

母が自分は行かないことを暗に含めながら父を促す。

「っ!?」

父はなにか言いたげにしていたがそれには堪え、

「エルリック、行くぞ!聖女様に何があったか御説明して貰う」

「え?」

ガシッ

父はエルリックの手を強く掴むやユーマリアの部屋を出ていく。

(う、嘘でしょ!?僕が聖女様に会うの!!)

エルリックは引っ張られながら頭の中がパニックになっていた。



バタン

エルリック達が出ていった後、

「ふぅ」

母が一度ため息をつくと、ユーマリアの方に顔を向ける。

「ユーマリア。何が起きたのか私にも教えてくれる?」

「もちろんです」

ユーマリアは嬉しそうにしながら自身に起きたことを話し始めたのであった。



【聖女】

この称号は国の中で一番の治療魔法使いに与えられるものだ。

今代の聖女は歴代最高峰の治療魔法使いとされる。

年齢は15歳と若く、聖女の称号を得た時は3年前の12歳の時であり、過去最年少で聖女になったということでも有名だ。

その治療の腕は大怪我であろうとも一瞬で治し、さらには病気であろうともたちまち治してしまう。

しかも、その魔力は膨大で例え何十人であろうとも治しきる持久力も有していた。

だが、今代の聖女が絶大な人気を持っているのは膨大な魔力量でも、治療の腕でも、美少女であることでも、最年少だからというわけでもなく、その性格であった。

誰に対しても分け隔てなく接し、どんなに凄いことをしても常に謙虚で優しい女性なのである。

老若男女誰からも愛される聖女

セリス・ロングマリー

とはそう言う人物であった。

(・・・今、目の前にその聖女様がいるなんて・・・)

父に連れてこられたエルリックは目の前の聖女を見ていつになく緊張していた。
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