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第141話

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エルリックの合図で皆が食事を始める。

ちなみにユーマリアの食事は大事をとって消化の良いものを中心に作られている。

「エルリック様、もし良ければこいつにも食べさせてもよろしいでしょうか?」

グレイは食べ始める前に左肩にいるイズを撫でながらエルリックに尋ねる。

エルリックはイズに目をやると、

「もちろん良いよ。というか、それ生き物だったんだ。動かないから置物かと思った」

エルリックはイズが正真正銘の鳥であることにようやく気づく。

「ありがとうございます」

グレイはイズをそっと降ろし、食事を小皿に盛ってやる。

イズは待ってましたとばかりに食べ始める。

(ふぅ。ちゃんと言えて良かった)

イズが、食べられない状況は後で文句を言われる可能性が高い。

色々と世話になっているイズの事を出来る限り優先して上げたいと思っているグレイはホッとする。

「か、可愛いですね」

ユーマリアが遠慮がちにイズのことを褒める。

もしかしたら、グレイに話しかける内容を探していたのかもしれない。

「ありがとうございます」

グレイはイズを褒められるのは嬉しくて仕方がないので素直に礼を言う。

「御名前はあるのですか?」

ユーマリアがグレイと話せて嬉しそうにしながら尋ねてくる。

エルリックは二人の様子を微笑ましく見ている。

アリシアも同じく二人の会話に耳を傾けながらも上品に食事をしている。

「『イズ』と申します」

グレイはユーマリアの質問に素直に答える。

「『イズ』さんですか、良い名前ですね」

「ありがとうございます!」

「グレイ・・・もしかして・・・」

エルリックはイズの名前の由来に気づいたようだ。

「はい。私の名前を分けました」

「やっぱり!」

エルリックは我が意を得たりと納得する。

「・・・良いなぁ」

ユーマリアがボソリと何かを呟いたようだが、触れてはいけないと思いスルーする。

イズのお陰もあり、朝食は和やかな雰囲気で進んでいった。

「ところで、もしよろしければ、アリシア様やグレイのここに来るまでの経緯を教えて貰えませんか?」

そうエルリックが言ったのは食事が終わり、お茶を頂いている時であった。

グレイはアリシアの様子を伺う。

アリシアはグレイの視線に気づくと、

「分かりましたわ。では、私《わたくし》からお話しますね」

そう前置きをした後、グレイに起きたこととアリシアに起きたことを話せる範囲で説明する。

グレイがナガリアの手の者に遠くまで拉致され殺されかけたこと。

その事態に流石に我慢の限界が来たアリシアの父であるバルム家当主が国王様を通して正式にナガリア家に対し戦う意思を示した事。

それを受けた国王様がナガリアに対して左遷を言い渡したこと。

逆上したナガリアがバルム家に対して襲撃してきたこと。

アリシアがナガリアにより殺されかけたこと。

そしてそれをグレイが助けてくれたこと。

迷宮のことやイズの正体、エリクサーについてはぼかしながらではあったが詳細を伝えたのであった。
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