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第127話

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「う、うう・・・」

グレイの言葉を聞いたユーマリアは下を向いてしばらくの間涙を流すと、グレイの方を向くと、

「・・・私の名前はユーマリア・バスターです」

あなたのお名前は?

言葉にはしなかったがグレイには続きの言葉も聞こえてきた気がした。

「・・・俺の名前はグレイ・ズーだよ」

お互いに心が荒んでいた時の約束。

それが今果たされた。

「グレイ・・・ズー様。はい、もう決して忘れません」

ユーマリアはそのように呟いた後、グレイの目をまっすぐ見てこう言った。

「グレイ様。あの時も今回も助けてくださり本当にありがとうございました。この御恩に報いるためなら、私、ユーマリアはどのようなことでもさせて頂きます」

更に深々と頭を下げる。

金髪年下美少女にこのようなセリフを言われたというにも関わらずグレイは落ち着いた様子で、

「俺は何にもしちゃいないさ。4年前だってたまたま通りかかっただけだしね。今回だって俺の力じゃない。ユーマリアのことを思って俺をここに導いてくれたのはエルだし、君を助けるために尽力してくれたのはアリシアさんだしね」

自分の功績を全く披露すること無くそう答える。

(グレイさんたら相変わらずですわね)

話を聞いていたアリシアは苦笑する。

(・・・全くだ)

アリシアと同じ心境のイズがアリシアの考えが分かったのか心の中で同意する。

「エルリック兄さまが・・・?それにアリシア様??」

ユーマリアにとっては分からない情報だらけだろう。

グレイの言葉に疑問符が浮かび続ける。

「グレイさん。ユーマリアさんが困っていらっしゃいますわよ」

アリシアがグレイにそう言った後、ユーマリアの方に向くと、

「始めましてユーマリア・バスターさん。私《わたくし》の名前はアリシア・エト・バルムと申します。ここにいるグレイさんの友人で、グレイさんを通じてエルリックさんとも友人になりましたわ」

優雅に頭を下げながら話しかける。

「えっ!?『バルム家』の方ですか!?」

ユーマリアは殆ど寝たきりだったというのにも関わらずバルム家の事は流石に知っていたのか大いに驚き、思わずエルリックの方を見る。

エルリックはユーマリアの心情を理解しているのか深く頷く。

「し、失礼致しました。私の名前はユーマリア・バスターです。ベッドの上からで申し訳ございません」

慌ててアリシアに頭を下げる。

「ふふふ。気になさらないで良いですわ」

アリシアは微笑みながらそう答えた。

(・・・何て綺麗な方。そして、何て心の広い方なのだろう)

ユーマリアはたった数分のやり取りだけですぐにアリシアに対しての尊敬の念が湧いて来た。

「ありがとうございます。アリシア様」

ユーマリアは素直に御礼を言ったのだった。
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