他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

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第118話

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「・・・魔法学園。俺はそこに向かっている。じゃあ、またいつか」

私の質問に彼はそう言うとそのまま去っていった。

「魔法学園・・・」

一人残された私は呟き、ただただ、彼が向かった方向をずっと見ていた。

「ユーマリア！」

「！？エルリックお兄さま！！」

彼がいなくなってしばらくした後、エルリック兄さまが私を見つけ出した。

まさか、ここが分かるとは思っても見なかった私は驚く。

「何でこんな所に・・・」

エルリック兄さまはそのように呟きながら周りの状況をご覧になる。

そして、私が何をしようとしていたかを瞬時に悟られる。

「ユーマリア・・・」

私の名前だけ呼びながら近づいてくるエルリック兄さま。

・・・怒られますわね

私は生まれて初めての叱責に備え、思わず目をつむる。

ぎゅ

「！？」

ですが、予想に反してエルリック兄さまは私を優しく抱きしめました。

痛くないように本当に優しく。

「生きていてくれてありがとう・・・」

エルリック兄さまは声を震わせながらそう言いました。

「うっ・・・」

私の目からも自然と涙が出ます。

そして、よく見るとエルリック兄さまの服がボロボロなことに気が付きました。

こんな私のために駆け回ってくれたんだ。

その事を認識した時、

「ご心配おかけして・・・申し訳ございませんでした・・・」

私は素直に謝っておりました。

エルリック兄さまは私からそっと離れると首を振り、

「ユーマリアは悪くない。だから謝らなくていいよ。良くこらえてくれたね」

そう優しく微笑んだ。

「いえ・・・私だけの力ではありません。助けてくれた方がいたのです」

私は彼が立ち去った方を見ながら呟きました。

すると、エルリック兄さまもそちらを見てから私の方に向き直り、

「そうだったんだね。いつか御礼を言わないといけないね」

優しく微笑まれた後、

「さあ、ひとまず家に帰ろう。その人のことについては後で教えてくれるかな？」

「はい！」

エルリック兄さまの言葉に私は満面の笑みで頷きました。

それからの私は懸命に生きました。

例えどんなに辛くてもあの時の出来事の御蔭で前向きに生きることが出来たのです。

「ユーマリア？」

私が過去を回想しているとエルリック兄さまが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

「すみません。少し、考え事をしておりました」

私はエルリック兄さまに顔を向けながら謝る。

「・・・もしかして4年前の事？」

「はい。あの人との約束は守れそうにありませんがここまで生きられました。悔いはありません」

私はにっこりと微笑みました。

「申し訳ありませんが少し疲れてしまいました。休ませて頂きますね」

「うん。ゆっくり休むと良いよ」

エルリック兄さまの優しい言葉を聞きながら私は再び目を閉じました。

不思議と今日はぐっすり眠れる気がします。

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