他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

第103話

コンコンコン

「管理者さん、いらっしゃいますか？」

グレイは男子寮の一階にある寮の管理者用の部屋をノックする。

平日は男子寮入口の小部屋に常駐しているのだが週末は管理者用の部屋にいる。

今日は日曜日なため、こちらにいるはずとグレイはやってきていた。

「はいよ～」

今の管理者さんは勤務時間外であっても親しみがあり、優しい。

すぐに部屋の中から返事がし、ドアに向かってくる気配を感じる。

（ふぅ。これで部屋に入れる。あ、やばっ！）

グレイはほっとして隣のイズに微笑みかけると、あることに気がついた。

（寮って動物禁止だったかも！？）

クレイは慌ててイズを手に乗せ、ポケットに隠す。

「ごめん、イズ。少し隠れてて」

突然のグレイの行動に動揺しているイズに端的に言うと、

ガチャ

ちょうど管理者がドアを開けてくれるところだった。

優しそうな顔の70歳くらいの御老人が顔を出す。

「お休み中に申し訳ございません。実は部屋の鍵を無くしてしまって再発行をお願いしたいのですが・・・」

グレイは訪れた理由をまず説明していく。

すると、

「っ！？君は」

管理者がグレイの言葉の途中で驚きの声を上げ、

「グレイ・ズー君だね」

とグレイの名前を呼ぶ。

「え、あっはい。そうです」

（管理者さんに名前を覚えて貰っていたっけ？）

グレイは不思議に思いながら、管理者の言葉を肯定する。

「やっぱりか！拉致されていたと聞いていたが無事で良かった！」

管理者はグレイの事情を知っているのかとても喜んでくれる。

「ありがとうございます」

グレイはひとまず礼を言う。

（自分の無事を喜んでくれる人がいるっていいな）

交友関係の狭いグレイはそれだけで嬉しくなる。

「あ、鍵だったね・・・少し待っていて」

管理者はそういうと部屋の中に入っていく。

（ん？鍵の管理は寮の入口にある小部屋じゃないんだっけ？）

グレイは魔法学園に入学した当初の記憶を思い出す。

たしか、鍵を管理する棚があったのは寮の入口の小部屋だったはずだ。

「お待たせ。はい、これ」

グレイが疑問に思っている間に管理者は戻ってくる。

手には鍵と後、何やら手紙を持っていた。

「ありがとうございます」

グレイは鍵を受け取ると礼を言う。

「その鍵に関しては手続きが済んであるからただ貰うだけでいいからね」

「えっ？よろしいのですか？」

グレイは管理者の言葉に驚き、思わず聞き返す。

「うん。君の友達が手配してくれたんだ。もし君が私を尋ねに来たらこれを渡してほしいと言っていたのでこれも渡すね」

管理者は鍵の他に手に持っていた手紙をグレイに渡してくる。

「はい。ありがとうございます」

「じゃあ、確かに渡したからね。今日は日曜日だからゆっくり過ごしなよ」

管理者がそう言うと手を振りながらドアを閉めていく。

「あ、はい。ありがとうございました！」

訳の分からないことに呆然としていたグレイはドアが閉まっていくことで我に返り、管理者に礼を言ったのだった。