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第91話
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「ありがとうございます」
グレイはリンダの言葉に返事をすると、まず、アリシアの方を黙って見る。
そして、さり気無く左肩にいるイズの頭を右手で撫でるようにしてリンダの視界から隠す。
「・・・」
『・・・』
グレイのこの行動だけで、意図を理解したアリシアとイズは黙って呪文を唱え始める。
アリシアの方は演技、イズの方の魔法をカモフラージュするためである。
(流石、アリシアさんとイズだ。事前に申し合わせていた訳でもないのに俺の意図を汲んで対応してくれている)
グレイは以心伝心のこの流れを見てとても嬉しく感じた。
やげて、イズが魔法終了の合図として、イズを撫でるふりをしているグレイの右手の平を甘くつつく。
グレイは右手をイズから話すと、
「今、アリシア様に防音の魔法をかけて頂きました。これで、安心して話ができます」
「!?そのような魔法があるなんて聞いたことがありません」
グレイの言葉に驚きの声を上げるリンダ。
「バルム家に伝わる魔法の一つなのですわ。このことに関しましては内密でお願いいたします」
アリシアが上手いことリンダに説明してくれる。
「バルム家様のですか、それなら納得です」
リンダもアリシアの言葉にすんなりと納得する。
「では、早速お聞きいたします。『組織』とは何ですか?」
グレイは騎士がここに来る前に色々と話を聞いておきたかったため、本題に入る。
アリシアが聞いたことのない言葉に怪訝な顔をするが、今回の件に関係する話と理解して黙って耳を傾ける。
「・・・『組織』というのは、私も全容が分かっている訳ではありません。ですが、法律には確実に引っかかるような非合法なことを何でもやるような集まりのことです」
リンダが今更隠す気は無いのか、分かる範囲でグレイの言葉に答え始める。
「今回の件はあなたが『組織』を抜け出したことへの制裁であると言っておりました」
グレイが続けて話すと、リンダは震えながら、
「はい。私は『組織』とは知らずに研究員として働いておりました。ですが、ある日私たち研究員は知ってしまったのです。表向きは健全な研究所の裏で非人道的な研究をしていたことに・・・」
「・・・もしかして、人体実験ですか?」
アリシアがリンダが抱えている子どもを見ながら確認を取る。
「!?」
アリシアの言葉にグレイは驚く。
「・・・はい。その通りです。人間と魔物の掛け合わせによる可能性を探る実験です・・・」
リンダは辛そうに肯定する。
「私はまさか裏でそのようなことをしていたとは思いもよりませんでした」
「・・・そう言うことでしたか、その研究所の裏の顔を見てしまったあなたは『組織』に裏切り者と判断されて殺されかけたということですね」
「はい。その通りです。『組織』の事を知らずにいた私以外の研究所の人間は全員殺されました。私は何とかこの子を連れて逃げ出したのですが・・・」
当時のことを思い出したのかリンダの震えがますます激しくなる。
「・・・何と酷いことを・・・その研究所というのはどうなったのですか?」
アリシアが確認を取る。研究所を足掛かりに『組織』と真っ向から戦うつもりなのかもしれない。
「跡形もなく吹き飛ばされました。証拠隠滅のためなのでしょうね」
「・・・そうですか」
アリシアはそう呟いた後、沈黙し何事かを考えているようだった。
グレイはリンダの言葉に返事をすると、まず、アリシアの方を黙って見る。
そして、さり気無く左肩にいるイズの頭を右手で撫でるようにしてリンダの視界から隠す。
「・・・」
『・・・』
グレイのこの行動だけで、意図を理解したアリシアとイズは黙って呪文を唱え始める。
アリシアの方は演技、イズの方の魔法をカモフラージュするためである。
(流石、アリシアさんとイズだ。事前に申し合わせていた訳でもないのに俺の意図を汲んで対応してくれている)
グレイは以心伝心のこの流れを見てとても嬉しく感じた。
やげて、イズが魔法終了の合図として、イズを撫でるふりをしているグレイの右手の平を甘くつつく。
グレイは右手をイズから話すと、
「今、アリシア様に防音の魔法をかけて頂きました。これで、安心して話ができます」
「!?そのような魔法があるなんて聞いたことがありません」
グレイの言葉に驚きの声を上げるリンダ。
「バルム家に伝わる魔法の一つなのですわ。このことに関しましては内密でお願いいたします」
アリシアが上手いことリンダに説明してくれる。
「バルム家様のですか、それなら納得です」
リンダもアリシアの言葉にすんなりと納得する。
「では、早速お聞きいたします。『組織』とは何ですか?」
グレイは騎士がここに来る前に色々と話を聞いておきたかったため、本題に入る。
アリシアが聞いたことのない言葉に怪訝な顔をするが、今回の件に関係する話と理解して黙って耳を傾ける。
「・・・『組織』というのは、私も全容が分かっている訳ではありません。ですが、法律には確実に引っかかるような非合法なことを何でもやるような集まりのことです」
リンダが今更隠す気は無いのか、分かる範囲でグレイの言葉に答え始める。
「今回の件はあなたが『組織』を抜け出したことへの制裁であると言っておりました」
グレイが続けて話すと、リンダは震えながら、
「はい。私は『組織』とは知らずに研究員として働いておりました。ですが、ある日私たち研究員は知ってしまったのです。表向きは健全な研究所の裏で非人道的な研究をしていたことに・・・」
「・・・もしかして、人体実験ですか?」
アリシアがリンダが抱えている子どもを見ながら確認を取る。
「!?」
アリシアの言葉にグレイは驚く。
「・・・はい。その通りです。人間と魔物の掛け合わせによる可能性を探る実験です・・・」
リンダは辛そうに肯定する。
「私はまさか裏でそのようなことをしていたとは思いもよりませんでした」
「・・・そう言うことでしたか、その研究所の裏の顔を見てしまったあなたは『組織』に裏切り者と判断されて殺されかけたということですね」
「はい。その通りです。『組織』の事を知らずにいた私以外の研究所の人間は全員殺されました。私は何とかこの子を連れて逃げ出したのですが・・・」
当時のことを思い出したのかリンダの震えがますます激しくなる。
「・・・何と酷いことを・・・その研究所というのはどうなったのですか?」
アリシアが確認を取る。研究所を足掛かりに『組織』と真っ向から戦うつもりなのかもしれない。
「跡形もなく吹き飛ばされました。証拠隠滅のためなのでしょうね」
「・・・そうですか」
アリシアはそう呟いた後、沈黙し何事かを考えているようだった。
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