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第326話 国王代行

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「何者だ!何者であろうともこの街への侵入は許さぬぞ」

ルーク達を取り囲んだ十数人の騎士の中からリーダーと思われる人物が前に出てくる。

白髪、白髭の老騎士である。

背筋がしっかりと伸びており、実年齢より若く感じられる。

ルークは直ぐに腰から短剣を取り出し、

「俺は『国王代行』だ」

その証明である短剣を抜きながら堂々と宣言する。

暗闇が支配する中だというのに金でできた綺麗な刀身は不思議と輝いており、セインツ王国王家の紋章がはっきりと見て取れる。

「なっ!あれはまさしくセインツ王家の紋章!?」

老騎士は直ぐにルークの短剣の意味を理解し驚愕する。

「国王代行だと?」

「まさか・・・」

「本物・・・なのか」

老騎士の言葉を聞いた他の騎士たちが口々に呟きざわめき始める。

「さあ、この街の異常な状況について説明して貰おうか?」

ルークが騎士達全員に伝わるように大きめな声で言う。

「隊長、いかがしましょうか?」

騎士達が老騎士に尋ねる。

「・・・」

老騎士は即答できず考えるが少しした後、一歩前に出る。

そして答えは剣を抜くという行動で示した。

「皆のもの良く聞け!我々は『キリオスの街の騎士だ!』相手がこの国の王であろうと代行であろうと関係はない!構えよ!!」

「「「おう!」」」

老騎士の激励に先程まで動揺しきっていた他の騎士たちも剣を抜き、返事をする。

どうやら正気に戻ったようだ。

「ほう。良い度胸だな」

ルークはこういう結果も想定していたのか短剣を鞘に納め、腰に戻す。

(そもそも怪しいことをしている連中が紋章を見ただけで大人しくなるわけないものな。逆に言えば何か画策をしているということだ)

ルークはそう確信する。

「行くぞ!!」

老騎士が部下たちに号令をかけ戦闘が始まった。
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