戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

第318話 門前払い

「おー、ようやく見えてきたのじゃ！」

ヒルダが楽しそうに呟く。

ミリーナの話を聞いたあとすっかり興味を持ったヒルダはキリオスの街に到着することを楽しみにし続けていた。

今はあれから数日が経っていた。

「本当だわ！あれがキリオスの街ね！」

ミリーナもヒルダの言葉に嬉しそうに反応する。

「「ルーク！早く行くわよ（のじゃ）！」」

ミリーナとヒルダはそれぞれがルークの手を掴み街に早く行こうと引っ張る。

「・・・街は逃げたりしないぞ？」

結構強く引っ張ってくる2人の勢いのままに進むルークは呆れ笑いを浮かべながら呟いた。

「街は逃げなくても時間は逃げるわ！」

「そうじゃ！我は早く見てみたくて堪らないぞ！」

「「急ぎましょ（ぐのじゃ）！」」

ルークの言葉にもめげず、より一層力を込めて引っ張る2人であった。





「申し訳ありませんが現在中にお入れすることは出来ません」

ところが、キリオスの街の入口に控える騎士がルーク、ミリーナ、ヒルダの街への入場を認めなかった。

「・・・えっと、、、何故ですか？」

ミリーナが動揺しながらも騎士に尋ねる。

「詳細はお話できませんが現在、キリオスの街内で事件が発生しておりまして。それが解決するまでは街の中からも外からも出入りが出来ないことになっているのです。申し訳ございませんがこの街を迂回し、先に進んでください」

と、騎士が申し訳無さそうに答えたのであった。