戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

第316話 雑談

「温かいご飯が食べれて良かったわね」

ミリーナが野菜や肉の具だくさんのスープを飲みながら嬉しそうに言う。

「本当じゃの！野営の時の食事も我は気に入っているが、偶にはこういった手のかかる料理も食べたくなるよのぉ」

ヒルダが、パンとチーズと具材を同時に焼いたものを幸せそうに食べながら答える。

「そうだな。まさか日暮れ前に村に辿り着くことが出来るなんて運が良かった」

ルークがホットコーヒーを飲みながら言う。

ルークとミリーナとヒルダの3人は駄目元で急いで移動した結果、そこまで大きくはない物のしっかりと宿もある村に辿り着いていた。

「欲を言えばお風呂があると良かったんだけどね。流石に欲張り過ぎよね」

ミリーナが残念そうに呟く。

森の中の移動を何度かしたため、意外と汚れていたのだ。

「そうだな・・・宿の主人にお湯を用意してもらって体を拭くしかないだろうな」

「そうじゃな。まぁ、いつか風呂のある場所に辿り着くじゃろうて」

ヒルダが楽観的に呟く。

通常風呂に入るのも意外と金がかかるが、なんやかんやでルーク達は金持ちになっていたので懐も痛まない。

「そうだな。このままいけば何日かしたら街に着きそうだ。そこまで行けば風呂位あるだろう」

ルークが簡易的な地図を確認しながら呟く。

「へぇ。何ていう街？」

ミリーナがルークに尋ねる。

「キリオスの街という名前のようだな」

ルークが地図に書いてある名前を読みながら答える。

「え、キリオスの街！！」

ルークの言葉にミリーナが食いつく。

「あ、ああ。そう書いてあるが・・・」

ルークがすこし動揺しながら答える。

「どうした、ミリーナ。興奮して」

ヒルダがミリーナに尋ねる。

「キリオスの街っていうのは英雄キリオスにちなんで作った街なのよ！一度行って見たいと思っていたのよね！！」

ミリーナが嬉しそうに答える。

「ほう。『英雄』とな。詳しく話してくれるか？」

知識欲求の高いヒルダが目を輝かせながら尋ねた。